医療チューブ類事故防止対策に関する学際的探索研究

文献情報

文献番号
200401026A
報告書区分
総括
研究課題名
医療チューブ類事故防止対策に関する学際的探索研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
山内 豊明(名古屋大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 大西 和子(三重大学 医学部)
  • 斎藤 真(三重県立看護大学 看護学部)
  • 相馬 孝博(杏林大学 医学部)
  • 道又 元裕(日本看護協会 看護研修学校)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 ドレーン・チューブ類の自己抜去は、医療事故報告あるいはヒヤリ・ハット報告のなかで発生頻度の上位を占める。ドレーン・チューブ類の自己抜去に関する先行研究は、患者要因に焦点を当てて論じているものが多く、医療者や医療環境の要因を併せて分析した報告はない。そこで、ヒヤリ・ハット報告を活用し、自己抜去の背景にある医療環境の要因および発生状況を含めた分析を目的とした。
研究方法
 本研究では、厚生労働省の医療安全対策事業において各医療機関から収集されたヒヤリ・ハット事例を一次データとして二次分析を試みた。2001年10月から2003年9月までに収集された76,043事例を対象として、ドレーン・チューブ類の自己抜去の発生要因および発生状況について他の事例と比較することで自己抜去事例の傾向を明らかにすることを目的とした。頻度の比較には全てカイ2乗検定を用いた。
結果と考察
 その結果、①自己抜去は、ヒヤリ・ハット報告のなかで「転倒」、「無投薬」に次いで発生頻度が高く、5,167事例(全体の6.7%)であった。②自己抜去の発生曜日別の頻度に差はなく、昼間よりも夜間に起きる割合が高かった。③主に病室で、その他は集中治療場面で起きていた。④自己抜去事例の中で、65歳以上の占める割合は55.7%であり、男性患者は女性患者の約1.8倍であった。⑤自己抜去を起こす患者の心身の要因として頻度の高い項目は、「床上安静」、「意識障害」、「せん妄状態」、「痴呆・健忘」、「薬剤の影響下」、「精神障害」、「構音障害」、「聴覚障害」、「睡眠中」であった。⑥当事者の要因は「観察が不十分であった」、「判断に誤りがあった」、「確認が不十分であった」、「説明が不十分であった」、「夜勤だった」を要因と認識している者の割合が高かった。
結論
 以上の結果より、自己抜去の発生曜日に頻度の差はなく、昼間よりも夜間に多く発生していることから、休日や夜間の人員配置の工夫や患者の監視についての対策の重要性が示唆された。また、当事者は観察や確認が不十分であったことや判断に誤りがあったことを要因として認識していることから、自己抜去を起こす恐れのある患者の状態の把握や自己抜去を防止するための的確な判断についての能力の必要性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2005-07-22
更新日
-