医療安全における患者参加の実践プログラムとその効果的教育・研修システムの開発研究

文献情報

文献番号
200401023A
報告書区分
総括
研究課題名
医療安全における患者参加の実践プログラムとその効果的教育・研修システムの開発研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
橋本 廸生(横浜市立大学医学部医療安全管理学)
研究分担者(所属機関)
  • 鮎澤 純子(九州大学大学院医学研究院 医療経営・管理学講座)
  • 山本 武志(福岡県立大学 看護学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
6,532,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、安全な医療が提供され患者がそれを享受するために、医療者と患者の協同的な取り組みの国内外の実践例を、成功事例を中心に探索・整理し、医療安全のための患者参加プログラムのモデルを開発すること、そしてそれが効果的に運用され定着するための教育・研修システムを開発することが目的である。
研究方法
国外では、アメリカにおける患者参加の事故防止の実態調査として、安全管理に実績を挙げている病院と医療の質ならびに安全管理に関わる第三者機関・研究所を訪問し、実務者ならびに関係者と意見交換を実施した。国内では、先進的な数病院の取り組みの調査を行った。
結果と考察
アメリカの事故防止の取り組みに大きな影響を与えた1995年のIOMレポート「To Err Is Human」)においても強調されているが、アメリカにおいて近年特に「患者参加」は事故防止に向けての強力なアプローチのひとつとして位置づけられている。JCAHOのような医療機関に影響力のある第三者機関が「Speak Up」といったキャンペーンを通して、患者はもとより社会への啓蒙を図ると共に、評価項目と連動させながら医療機関への取り組みの浸透を仕掛けている。
国内のA病院では、患者と医療者が情報を共有できる患者用クリティカルパスを作成しており、医療安全の面からも有効であると考えられた。また、B病院では、無菌室入室前の患者における無菌化処置期間中のクリティカルパスを検討していた。C病院では、胃がんにより胃切除術を受ける患者の術前訪問の際にノートパソコンを用い、患者が得たい情報を自己選択で得られるようにしていた。D病院では、がん化学療法における、副作用に対する患者のセルフケア能力向上および安全な医療提供のために、外来看護師が教育や看護支援が可能なセルフケアプログラムの作成を行っていた。
結論
患者参加の事故防止を進めていくためには、医療従事者と患者の双方にその意義と具体的な参加の方法を浸透させるとともに、現場の取り組みを進めるための社会的な仕掛けが必要である。患者参加による安全な医療の提供を試みる先進的なさまざまな取り組みが国内においても認められている。平成17年度は16年度の結果から標準的な患者参加プログラムを作成し検討する。

公開日・更新日

公開日
2007-12-17
更新日
-