医事紛争における裁判外紛争処理に関する基礎的研究

文献情報

文献番号
200400996A
報告書区分
総括
研究課題名
医事紛争における裁判外紛争処理に関する基礎的研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
我妻 学(東京都立大学(法学部))
研究分担者(所属機関)
  • 児玉安司(三宅坂総合法律事務所(弁護士))
  • 岩田太(上智大学(法学部))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年、医療事故の発生により、医療に対する国民の信頼が大きく揺らいでいる。医療事故に対する対する対策としては、いかに事故を未然に防止するかという安全対策と発生した事故に医療機関がどのように対応するかという事故対応に大別される。本研究はこのうち後者に焦点を当てたものである。
研究方法
平成15年に行った医療事故に対する日本医師会医師賠償責任保険制度についての聞取調査およびドイツにおける医師会の調停所・鑑定委員会、アメリカにおける医療紛争に関する調停などを中心とした比較法の研究を元に平成16年度においては以下のように研
究を行った。第一に、東京、大阪における医事関係訴訟の集中部についての聞取調査などを行い、医療紛争の裁判手続の現状について分析した。第二に、我妻教授がフランスにおける医療紛争の実態調査を行った。第三に、岩田助教授がオーストラリアのビクトリア州における患者の苦情処理システムなどの実態について分析を行った。
結果と考察
医療事故について裁判による救済を求める場合には、過失の有無、損害との因果関係などについて、患者側が証明責任を第一義的に負う。裁判による公平・迅速な解決を目指すだけではなく、裁判外での紛争処理手続を充実させることにより、患者の早期の救済、患者と医師の信頼関係の修復・維持に努めることが必要である。当事者の多様なニーズに対応するには、医療過誤の有無について中立の専門家が簡易・迅速に書面審理により判断する方法あるいは、患者と医師の信頼関係の修復・維持を重視する方法が考えられる。
結論
現在、医療分野における裁判外紛争処理システム構築の必要性が指摘されているが、必ずしも十分に問題点が分析されているとはいいがたい。そこで、本研究では、ドイツ、フランス、アメリカ、オーストラリアなどの諸外国における医療紛争の裁判外紛争処理手続に関する最新の基礎的文献の収集および聞取調査を行っている。諸外国における医療紛争の裁判外紛争処理手続の現状について基本的な情報を広く提供するとともに、我が国において、医療紛争の裁判外紛争処理手続を整備する際の論点整理を行う

公開日・更新日

公開日
2005-10-28
更新日
-

文献情報

文献番号
200400996B
報告書区分
総合
研究課題名
医事紛争における裁判外紛争処理に関する基礎的研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
我妻 学(東京都立大学(法学部))
研究分担者(所属機関)
  • 児玉安司(三宅坂総合法律事務所(弁護士))
  • 岩田太(上智大学(法学部))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年、医療事故の発生により、医療に対する国民の信頼が大きく揺らいでいる。医療事故に対する対する対策としては、いかに事故を未然に防止するかという安全対策と発生した事故に医療機関がどのように対応するかという事故対応に大別される。本研究はこのうち後者に焦点を当てたものである。
研究方法
平成15年に行った医療事故に対する日本医師会医師賠償責任保険制度の構築と問題点についての聞取調査およびドイツにおける医師会の調停所・鑑定委員会、アメリカにおける医療紛争に関する調停などを中心とした比較法の研究を元に平成16年度においては以下のように研究を行った。第一に、東京、大阪における医事関係訴訟の集中部についての聞取調査などを行い、医療紛争の裁判手続の現状について分析した。第二に、我妻教授がフランスにおける医療紛争の実態調査を行い、過失責任の原則である医療過誤と無過失の重大な医療事故の和解的な解決の実態と問題点について分析を行った。第三に、岩田助教授がオーストラリアのビクトリア州における患者の苦情処理システムについて分析を行った。
結果と考察
医療事故について裁判による救済を求める場合には、過失の有無、損害との因果関係などについて、患者側が証明責任を第一義的に負う。裁判による公平・公正な解決を目指すだけではなく、裁判外での紛争処理手続を充実させることにより、患者の早期の救済、患者と医師の信頼関係の修復・維持に努めることが必要である。当事者の多様なニーズに対応するには、裁判外紛争処理手続の対象をどのようにし、具体的な手続をどのようにするかについても具体的に検討する必要が指摘される。
結論
現在、医療分野における裁判外紛争処理システム構築の必要性が指摘されているが、必ずしも十分に問題点が分析されているとはいいがたい。そこで、本研究では、ドイツ・フランス、アメリカ、オーストラリアなどの医療紛争の裁判外紛争処理手続に関する最新の基礎的文献の収集および聞取調査を行うことにより、諸外国における医療紛争の裁判外紛争処理手続の現状について基本的な情報を広く提供するとともに、我が国において、医療紛争の裁判外紛争処理手続を整備する際の論点整理を行っている。

公開日・更新日

公開日
2005-10-28
更新日
-