産科領域における安全対策に関する研究

文献情報

文献番号
200400995A
報告書区分
総括
研究課題名
産科領域における安全対策に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
中林 正雄(社会福祉法人恩賜財団母子愛育会総合母子保健センター愛育病院)
研究分担者(所属機関)
  • 佐藤 章(福島県立医科大学産婦人科)
  • 池ノ上 克(宮崎大学医学部産婦人科)
  • 田邊 清男(東京電力病院産婦人科)
  • 佐藤 仁(産科婦人科舘出張・佐藤病院産婦人科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
産科領域における母児の安全な管理体制の確立は急務である。最近の妊娠・出産を取り巻く社会環境は大きく変化しており、周産期医療システムもその変化に対応して整備されるべきであるが、その対策は不十分である。
本研究では最近の本邦における周産期統計を基にして、安全で快適な分娩のために整備すべき周産期医療システムと、妊娠・分娩の費用について検討した。
研究方法
最近の日本産科婦人科学会の周産期統計を分析して母児のリスク因子を抽出した。さらに日本産婦人科医会が行った中小産科施設におけるインシデント・アクシデントレポートを分析して医療事故防止について検討した。これらの資料に基づいて新しい周産期医療システムを目指したシンポジウム「安全で快適なお産のために、今、何をすべきか」を開催して、「良い産院の10カ条」、「日本型産科オープンシステム」、「本邦の実情にあった妊娠リスク評価」について多角的に討議した。
結果と考察
本邦の周産期医療の問題点として、以下の項目が挙げられた。
1.ハイリスク妊娠と低リスク妊娠が混在すること。
2.医療施設の機能別役割分担が不明瞭なこと。
3.業務内容がハードであり、産科医のQOLが保てず、仕事量の割に低収入であること。
4.産科医(とくに基幹病院)の人手不足が深刻であること。
上記の問題を解決するために、以下の項目が提言された。
1.新しく作成した「妊娠のリスク評価表」を用いて妊娠のリスク評価を行い、ハイリスク妊娠・分娩は周産期センターへ集約化する。
2.地域の実情にあった「日本型オープンシステム」を普及させる。
3.正常分娩に要する入院分娩費は約52万円(健婦健診費16万円、指導費用2万円を除く)が必要である。ハイリスク妊娠では正常分娩の1.5-2倍の入院分娩費(80-100万円/分娩)が適当である。
4.上記について社会の理解を深め、妊婦健診および分娩費に対する公的補助を引き上げることが必要である。
結論
安全で快適な妊娠・分娩のためには、日本型オープンシステムを普及させ、医療施設の機能別役割分担を明確にし、ハイリスク分娩の周産期センターへの集約化が必要である。
この新しい周産期システムの運用のためには財政面での公的援助が必要である。

公開日・更新日

公開日
2007-08-21
更新日
-

文献情報

文献番号
200400995B
報告書区分
総合
研究課題名
産科領域における安全対策に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
中林 正雄(社会福祉法人恩賜財団母子愛育会総合母子保健センター愛育病院)
研究分担者(所属機関)
  • 佐藤 章(福島県立医科大学産婦人科)
  • 池ノ上 克(宮崎大学医学部産婦人科)
  • 田辺 清男(東京電力病院産婦人科)
  • 佐藤 仁(産科婦人科舘出張・佐藤病院産婦人科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
産科領域における母児の安全な管理体制の確立は急務である。最近の妊娠・出産を取り巻く社会環境は大きく変化しており、周産期医療システムもその変化に対応して整備されるべきであるが、その対策は不十分である。
本研究では最近の本邦における周産期統計を基にして、安全で快適な分娩のために整備すべき周産期医療システムと、妊娠・分娩の費用について検討した。
研究方法
最近の日本産科婦人科学会の周産期統計を分析して母児のリスク因子を抽出した。さらに日本産婦人科医会が行った中小産科施設におけるインシデント・アクシデントレポートを分析して医療事故防止について検討した。これらの資料に基づいて新しい周産期医療システムを目指したシンポジウム「安全で快適なお産のために、今、何をすべきか」を開催して、「良い産院の10カ条」、「日本型産科オープンシステム」、「本邦の実情にあった妊娠リスク評価」について多角的に討議した。
結果と考察
本邦の周産期医療の問題点として、以下の項目が挙げられた。
1.ハイリスク妊娠と低リスク妊娠が混在すること。
2.医療施設の機能別役割分担が不明瞭なこと。
3.業務内容がハードであり、産科医のQOLが保てず、仕事量の割に低収入であること。
4.産科医(とくに基幹病院)の人手不足が深刻であること。
上記の問題を解決するために、以下の項目が提言された。
1.新しく作成した「妊娠のリスク評価表」を用いて妊娠のリスク評価を行い、ハイリスク妊娠・分娩は周産期センターへ集約化する。
2.地域の実情にあった「日本型オープンシステム」を普及させる。
3.正常分娩に要する入院分娩費は約52万円(健婦健診費16万円、指導費用2万円を除く)が必要である。ハイリスク妊娠では正常分娩の1.5-2倍の入院分娩費(80-100万円/分娩)が適当である。
4.上記について社会の理解を深め、妊婦健診および分娩費に対する公的補助を引き上げることが必要である。
結論
安全で快適な妊娠・分娩のためには、日本型オープンシステムを普及させ、医療施設の機能別役割分担を明確にし、ハイリスク分娩の周産期センターへの集約化が必要である。
この新しい周産期システムの運用のためには財政面での公的援助が必要である。

公開日・更新日

公開日
2007-08-21
更新日
-

研究報告書(紙媒体)