エビデンスを適切に統合するメタ・アナリシスの理論、応用と普及に関する調査研究

文献情報

文献番号
200400990A
報告書区分
総括
研究課題名
エビデンスを適切に統合するメタ・アナリシスの理論、応用と普及に関する調査研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
丹後 俊郎(国立保健医療科学院 技術評価部)
研究分担者(所属機関)
  • 緒方 裕光(国立保健医療科学院 )
  • 山岡 和枝(国立保健医療科学院)
  • 横山 徹爾(国立保健医療科学院)
  • 津谷 喜一郎(東京大学大学院)
  • 折笠 秀樹(富山医科薬科大学)
  • 野添 篤毅(愛知淑徳大学)
  • 橋口 正行(北里大学)
  • 野口 善令(藤田保健衛生大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
18,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、システマティック・レビューのために収集された既存の調査研究から得られる個別の科学的根拠とその信頼性を正しく評価し、整理し、まとめる方法論としてのメタ・アナリシスの理論、応用と普及に関する調査研究を行うことにある。
研究方法
本年度行った主要な研究は以下に示す9テーマである。(1)メタアナリシス文献の主題傾向分析、(2)グループ化されたデータに基づいた線形回帰直線の傾きの比に関するメタアナリシスの統計手法の開発、 (3)コーヒーと糖尿病に関するメタ・アナリシスとその方法論に関する研究、 (4) 冠動脈ステント施工術後のアスピリン併用時でのシロスタゾールとチクロピジンの長期の有効性と安全性の比較」、(5) 腸管吻合法のランダム化比較試験のメタ・アナリシスに関する研究、 (6) 循環器疾患の危険因子・予防因子のメタ・アナリシスに関する研究、(7) 糖尿病予防のための栄養教育効果の評価とメタ・アナリシスに関する研究、 (8)臨床試験登録公開の世界的動向と日本でのシステムづくりに関する研究、(9)メタ回帰モデルの生物学的リスク評価への応用に関する研究。
結果と考察
紙面の都合上、いくつかの例を紹介しよう。薬理作用の異なる2つの抗血小板薬であるシロスタゾールとチクロピジンに関する研究で、長期の有効性と安全性の比較を行い、シロスタゾール投与の有効性を認めた結果は、冠動脈ステント施工術後の血栓の発生や再狭窄の防止に種々の抗血小板薬が使用されている背景において、わが国の冠動脈ステント施工術後の抗血小板薬の選択におけるシロスタゾールの位置づけをより明確にする示唆を与えるものと思われる。さらに、糖尿病予防のための栄養教育に効果に関するメタ・アナリシスで栄養教育の効果が示唆された結果は、新しい結果であり学術的意義も大きい。
結論
本研究班の研究では、無作為化比較臨床試験における治療効果、疫学研究におけるリスク因子の評価など、広範囲の医療技術の評価メタアナリシスを応用した研究を実施している。さらに、単なる応用にとどまらず、新しい方法論の開発も問題オリエンテッドに検討して世界に発信している意味で、学術的・国際的にも意義がある。本研究班の成果は、今後の日本のEvidence based Medicine の発展に貢献できるように配布、普及に努力したい。

公開日・更新日

公開日
2005-04-05
更新日
-