初期齲蝕および歯列等の新たな診断技術の開発に関する総合的研究

文献情報

文献番号
200400978A
報告書区分
総括
研究課題名
初期齲蝕および歯列等の新たな診断技術の開発に関する総合的研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
神原 正樹(大阪歯科大学(歯学部))
研究分担者(所属機関)
  • 川崎弘二(大阪歯科大学(歯学部))
  • 松村英夫(産業技術総合研究所(光技術研究部門))
  • 相馬邦道(東京医科歯科大学(歯学部))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 医療技術評価総合研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、実質欠損に至るまでのエナメル質内のう蝕進行状態(初期う蝕)をエナメル質内の蛍光を利用して光学的に検出できるQLF法を用いて、病巣の微細な変化をモニタリングする定量的診断方法および適切な処置プログラムを確立し、かかりつけ歯科医システムの中で個別に口腔保健管理するシステムを構築することである。
研究方法
1)異なる脱灰程度の初期う蝕に対し異なる局所的フッ化物応用を試み、経時的な再石灰化過程のモニタリングをQLF法により行った。
2)一年間の研究期間で二重盲検法にてフッ化物配合/非配合歯磨剤のどちらかを対象者に供与しQLF法によりモニタリングし、得られた各種説明変数に多重ロジスティック回帰分析を行った。
3)叢生のある部位とない部位をQLF法により撮影し、得られたデジタル画像の解析を行った。
4)採取した蛍光性/非蛍光性の歯垢にPCR法による解析を施し、歯垢構成微生物の質的診断を行った。
5)感染象牙質の除去を行う際に段階的なQLF法による評価を行った。
6)ブラッシングを停止させた被験者に初期歯肉炎が発症する過程をCCDカメラにより撮影し、得られた歯肉のデジタル画像を解析した。
7)初期う蝕検出用にデザインしたプローブを作製し、初期う蝕に作用させ蛍光顕微鏡による撮影を行った。
結果と考察
1)フッ化物配合歯磨剤を使用すると年齢のみが影響を及ぼす因子であることが明らかとなった。
2)高脱灰の初期う蝕に対しては、高濃度のフッ化物塗布を行わず、低濃度のフッ化物を継続的に作用させることがより高い回復を導く可能性があることが明らかとなった。
3)叢生がある部位では赤色蛍光を発する歯垢の付着が多い傾向が認められ、矯正歯科治療後では歯垢の付着が減少していることが明らかとなった。
4)蛍光を発する歯垢のなかには、歯周病関連菌が多いことがわかった。
5)感染象牙質の露出および除去の状態がQLF法により定量的に評価できることが明らかとなった。
6)デジタル画像の画像処理により、初期歯肉炎を実験的に観察できることが明らかとなった。7)新規開発したプローブの使用により、通常のQLF法では判別が難しい極めて初期のう蝕検出の可能性が高くなることがわかった。
結論
QLF法の応用により初期う蝕や初期歯周炎および為害性のある歯垢を定量的、経時的な画像モニタリングが可能であることが明らかとなった。

公開日・更新日

公開日
2005-04-05
更新日
-