再生医療を目的としたアデノウイルスベクターによるES細胞への効率的な遺伝子導入・発現系の開発

文献情報

文献番号
200400933A
報告書区分
総括
研究課題名
再生医療を目的としたアデノウイルスベクターによるES細胞への効率的な遺伝子導入・発現系の開発
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
川端 健二(国立医薬品食品衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
胚性幹細胞 (ES 細胞) は再生医療のための有力な細胞ソースとして注目されている。ES 細胞の分化を自在に制御するには効率の良い遺伝子導入法の開発が必須であり、これまではレンチウイルスベクターなどの長期間目的遺伝子を発現させる系が用いられてきた。しかし、特定の細胞へ分化させた後、遺伝子の発現を止めたい場合には一過性の発現システムが必要となる。そこで、これまで困難とされてきた ES 細胞への高効率外来遺伝子導入・発現系を次世代アデノウイルスベクターを用いて開発し、再生医療への応用を目指して ES 細胞を特定の細胞に分化させるための基盤技術を開発することを目的とする。
研究方法
従来型および種々のファイバー改変型アデノウイルスベクターを作製し、4種のプロモーター(RSV、CMV、CA、EF-1a)を用いて LacZ 遺伝子を発現させ、ES 細胞に最適なアデノウイルスベクターを決定した。
結果と考察
各種のプロモーターについて検討した結果、EF-1a プロモーターをもったアデノウイルスベクターでは 90% 以上の ES 細胞に遺伝子を発現させることができ、最も効率が良かった。また、RT-PCR とウェスタンブロットの結果、ES 細胞はアデノウイルス受容体 CAR を高発現していることが明らかとなり、そのため従来型アデノウイルスベクターを用いることで高効率に遺伝子を発現させることが可能であった。さらに、ポリリジン配列を付与したファイバー改変型アデノウイルスベクターは従来型と同程度に高効率であった。しかし、ポリリジン型アデノウイルスベクターが ES 細胞とフィーダー細胞両者に遺伝子発現させたのに対し、従来型アデノウイルスベクターは ES 細胞特異的であった。したがって、ES 細胞のみに特異的に遺伝子導入を行いたい場合には従来型ベクターが適しており、ES 細胞とフィーダー細胞両者に遺伝子導入する場合にはポリリジン型ベクターが適していることが明らかとなった。
結論
(1)ES 細胞はアデノウイルス受容体 CAR を発現している。
(2)EF-1a プロモーターを有する従来型アデノウイルスベクターが ES 細胞には最適である。
(3)ES 細胞だけでなく、フィーダー細胞にも同時に遺伝子導入したいときは、ポリリジン型などのファイバー改変型ベクターが有効である。

公開日・更新日

公開日
2005-04-08
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
-