個体特性に着目した食品成分の骨粗鬆症に対する予防効果に関する研究

文献情報

文献番号
200400899A
報告書区分
総括
研究課題名
個体特性に着目した食品成分の骨粗鬆症に対する予防効果に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
石見 佳子(独立行政法人国立健康・栄養研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 内山 成人(大塚製薬佐賀栄養製品研究所)
  • 岡 純(独立行政法人国立健康・栄養研究所)
  • 上原万里子(東京農業大学 応用生物科学部)
  • 戸田登志也(フジッコ株式会社)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
3,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、閉経期女性の骨量減少に対する大豆イソフラボン摂取の効果を個体特性を考慮に入れ検証し、より効果的な骨粗鬆症の予防法を確立することである。現在イソフラボンの骨に対する作用は、ダイゼインの代謝産物であり、活性の本体であると考えられているエクオールの産生に影響を受けることが示唆されている。ところがエクオールの腸管における産生には個体差があり、日本人では約50%が非産生者であることが報告されている。そこで、閉経期女性を対象に、大豆イソフラボンの介入試験を行ない、エクオールの産生能と骨量減少を抑制する効果について、相関関係の有無を検討する。
研究方法
閉経後1-5年を経過した健常女性を募集し、大豆イソフラボン(フジフラボンP40を1日当たり75mg毎日摂取)の二重盲検試験を行う。今年度はbaselineの骨密度、身体組成、血中骨代謝及び脂質代謝マーカーの測定、血中及び尿中イソフラボン濃度の測定、栄養調査、エクオール産生能の解析を行った。身体組成の測定はDXA法により行った。倫理面への配慮として、被験者の人権擁護のための配慮およびインフォームドコンセントを十分に行った。
結果と考察
我々は以前より閉経後女性を対象にイソフラボンの介入試験を実施しているが、今回新たに閉経後健常女性53名を募集した。先ずエクオールの産生能を測定した結果、産生者60.4%、非産生者39.6%であった。これらの被験者をエクオール産生者と非産生者が均等になるようにプラセボ群およびイソフラボン群に分け、イソフラボンの介入試験を開始した。
Baselineの年齢、体重、身長、閉経後年数、骨密度(全身、腰椎、大腿骨)、血中および尿中骨代謝マーカー、血中脂質、血中エストラジオール、甲状腺ホルモン濃度、栄養素およびイソフラボン摂取量、エネルギー摂取量は両群間で有意な差はなかった。平均エストラジオール濃度は若年女性に比べて有意に低値であった。血中総コレステロール濃度は若年女性に比べて有意に高値を示した。これらの結果から、本試験の対象者は閉経期の女性であることが生化学的に示された。血中および尿中エクオール濃度はエクオール産生者が非産生者に比べて有意に高値を示した。
 
結論
今回新たに募集した被験者は、血中エストラジオール濃度から判断して閉経後であることが確認された。エクオール産生者は全体の60.4%であった。全ての血中生化学マーカー、骨代謝マーカー、甲状腺ホルモン濃度及び身体組成のbaseline の値はプラゼボ群とイソフラボン群間で有意な差は認められなかった。

公開日・更新日

公開日
2005-04-19
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
-