食中毒細菌の新規迅速検査法の開発とその評価法に関する研究

文献情報

文献番号
200400883A
報告書区分
総括
研究課題名
食中毒細菌の新規迅速検査法の開発とその評価法に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
工藤 由起子(国立医薬品食品衛生研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 池戸正成(栄研化学株式会社)
  • 田中啓子(株式会社日清製粉グループ本社)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
2,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食品の検査において食中毒細菌等の有害細菌の検出には迅速性が求められており,本研究では,LAMP法など遺伝子増幅法を含めた検出法を検討する。今年度は鋳型DNA精製によるPCR効率の上昇,LAMP法における目的細菌の濃縮法等を検討した。さらに食品の一般生菌数の迅速測定法を検討した。
研究方法
1.PCRの鋳型DNAの精製効果:各種生鮮魚介類の培養液にTDH産生腸炎ビブリオ菌液を接種し,この液を熱処理し鋳型DNA液とした。DNA精製法としてシリカメンブレン法、グラスファイバー法,磁性ビーズ法を検討した。PCRには腸炎ビブリオTDH検出用PrimerSetを用いた。
2.LAMP法における菌の濃縮法と検体処理法:大腸菌について低速遠心での供沈のキャリアーとしてDEAEsepharose,腸球菌菌体(加熱死菌)などを用いて効果を確認した。またCampylobacter jejuniの菌体を接種したPrestonBrothを熱処理後,LAMPの反応性を確認した。また鶏の各種部位肉を用い影響を確認した。
3.惣菜類の細菌叢の解析:生菌数の遺伝子検出の系の検討のために実際の食品として惣菜類から一般生菌数として検出される細菌叢を把握した。
結果と考察
1.PCRの鋳型DNAの精製効果:食品の種類によって熱処理でのtdh遺伝子の検出感度は違い、最大約2,000倍の差が認められた。3種類のDNA精製法とも検出の改善が認められた。
2.LAMP法における菌の濃縮法と検体処理法:腸球菌をキャリアーに用いて約100倍の感度を得た。検体はアルカリ熱処理後に1MTris-HCl中和が優れていた。腸とレバーで阻害が見られたが検体液の希釈によって回避できた。
3.惣菜類の細菌叢の解析:細菌叢には食品ごとに特徴がみられた。リアルタイムPCRによる一般生菌数推定法構築の基礎のため16s-rDNAキットを用いたPCRによる細菌の検出を試みた。さらに細菌叢の検出に適したプライマーの選抜を試みた。
結論
PCR検出において鋳型DNA精製が検出改善効果を示した。またLAMP法での菌の濃縮は加熱死菌をキャリアーとすることが最も優れていた。また検体処理法としてアルカリ熱処理とpH修正が適切であった。さらに惣菜類に汚染する細菌叢の菌は16s-rDNA領域のPCRで標的遺伝子が増幅されPCR法を応用した細菌数定量法の確立の可能性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2005-06-22
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2007-04-20
更新日
-