文献情報
文献番号
200400881A
報告書区分
総括
研究課題名
超難溶性薬物の効率的製剤化に非晶質の特異性を活用する技術とその評価法の確立
研究課題名(英字)
-
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
吉岡 澄江(国立医薬品食品衛生研究所(薬品部第二室))
研究分担者(所属機関)
- 阿曽幸男(国立医薬品食品衛生研究所(薬品部第二室))
- 宮崎玉樹(国立医薬品食品衛生研究所(薬品部第二室))
- 村主教行(塩野義製薬株式会社(生産技術研究所))
- 林 隆志(塩野義製薬株式会社(生産技術研究所))
- 高倉朝子(塩野義製薬株式会社(生産技術研究所))
- 北川輝幸(藤沢薬品工業株式会社(物性研究所))
- 北村 智(藤沢薬品工業株式会社(物性研究所))
- 出口収平(藤沢薬品工業株式会社(物性研究所))
- 田中和幸(藤沢薬品工業株式会社(物性研究所))
- 大塚圭一(藤沢薬品工業株式会社(物性研究所))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 創薬等ヒューマンサイエンス総合研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
非晶質の特異性を活かして超難溶性薬物の効率的製剤化を実現することを目的とする。非晶質の特異性を決定する重要な要因であるダイナミクスを解析することによって非晶質の物理的状態の詳細を明らかにし、非晶質の特性を最適化する製剤技術の開発及びその評価法を確立する。
研究方法
①非晶質分散体における薬物分子および添加剤分子の運動性の関連を、13C-NMR緩和時間を指標として明らかにした。②また、非晶質薬物の結晶化メカニズム及び添加剤による安定化のメカニズムを熱量変化を指標として検討した。Agingの物性に与える影響を、マイクロバランス等を用いて検討した。③さらに、回転ディスク法による溶出試験によって固体分散体からの薬物溶出挙動に及ぼす添加剤の影響を検討した。
結果と考察
①ニフェジピンおよびフェノバルビタール/PVPの非晶質分散体において、PVPのカルボニル炭素のケミカルシフトが薬物の存在によって低磁場側にシフトすること、また、薬物の窒素近傍の炭素のT1およびPVPのカルボニル炭素のT1が共に増大することから、両者間の水素結合が強く示唆された。②試料A/PVP及びHPMC分散体では、Tg以下における試料Aの結晶化はエンタルピー緩和に続いて起こることが示唆された。添加剤の量や種類は、分子運動の大きさに関連する初期発熱量を変化させ、結晶化現象に影響を与えると考えられた。また、FK888/HPMC分散体は、Agingにより吸湿速度が抑えられることが明らかになった。③ニフェジピン/PVPの非晶質分散体において、薬物含有率が20%までは速やかに過飽和溶解した。また、分子量の小さいPVP K25の分散体では、PVP K90の分散体より高分子の溶出速度が速く、より高濃度に薬物が過飽和溶解した。
結論
薬物と添加剤分子間の水素結合によって薬物の局所的な運動が抑制され、非晶質分散体の安定化に繋ることが示唆された。また、構造緩和によって非晶質分散体の吸湿特性が改善され、Agingが非晶質分散体の安定性改善のための1つの手段となることが示唆された。13C-NMRによって得られるローカルな運動性、マイクロバランスによる吸湿特性、およびミクロ熱量計による構造緩和等に関する情報が非晶質の安定性を評価する上で有用であることが示された。溶解速度が大きい添加剤を用いることによって難溶性薬物の溶出特性を改善できることが明らかになった。
公開日・更新日
公開日
2005-04-08
更新日
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