網膜脈絡膜・視神経萎縮症に関する調査研究

文献情報

文献番号
200400818A
報告書区分
総括
研究課題名
網膜脈絡膜・視神経萎縮症に関する調査研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
石橋 達朗(九州大学大学院医学研究院眼科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 玉井 信(東北大学 医学部)
  • 田野 保雄(大阪大学 医学部)
  • 新家 眞(東京大学 医学部)
  • 小椋 祐一郎(名古屋市立大学 医学部)
  • 吉村 長久(京都大学 医学部)
  • 寺崎 浩子(名古屋大学 医学部)
  • 中澤 満(弘前大学 医学部)
  • 白神 史雄(香川大学 医学部)
  • 中江 公裕(南九州大学 食品栄養学科)
  • 湯沢 美都子(日本大学駿河台 医学部)
  • 坂本 泰二(鹿児島大学 医学部)
  • 高橋 政代(京都大学 探索医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
33,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
難治性・進行性で予後不良な疾患である加齢黄斑変性、網膜色素変性に代表される遺伝性網脈絡膜変性、および視神経萎縮を主な対象疾患とし、その病態解明と科学的根拠に基づいた有効な治療法確立を目的とする。
研究方法
加齢黄斑変性に対する光線力学的療法については、長期の経過観察によって日本人患者に適した治療プロトコールを完成させる。また、ステロイド薬による治療に関し検討を加える。網膜色素変性に関しては、効率的かつ簡便なスクリーニング方法を確立する。遺伝子治療については、独自に開発した発現ベクターを用いて、複数の神経保護因子を同時に導入する効果について検討する。視神経萎縮については電気的な人工視覚とともに幹細胞からの網膜再生を試みる。
結果と考察
加齢黄斑変性に対する光線力学的療法について、少なくと
も短期での治療効果は日本人患者に対して欧米での報告と比較して有効であった。副腎皮質ステロイドであるトリアムシノロンアセ
ドの硝子体内投与でも、有意な視力の改善・維持効果が得られた。網膜色素変性の原因遺伝子についてコスト・効率面で有効な診断スクリーニングシステムを立ち上げた。遺伝子治に関しては独自に開発した長期発現型ベクターを用いて、網膜色素変性モデル動物の網膜に複数の神経保護因子遺伝子を導入することによって、神経保護に有効なベクター濃度を低く抑えることができた。臨床応用へ向けて大いに発展性が期待できる。失明者に対する視覚補助具として人工網膜の開発を進めており、より少ない侵襲で網膜上に電極を設置する方法を示した。また網膜再生の試みとして、胚性幹細胞や網膜幹細胞から、分化した網膜細胞への誘導に成功している。今後3次元での網膜再生が課題である。
結論
日常生活を営む上で、その大半を依存する視覚情報を人生の途中で失う苦痛は計り知れない。本研究班が対象とする進行性・難治性疾患は、治療はおろか病態の解明すら未だ不明な部分が多い。それでも本研究班によって、病態の本質が明らかにされつつあり、治療に関しても徐々にではあるが臨床応用へ近づきつつある。今後、ヒトゲノムの機能解析が急速に進むものと予測される。例えば網膜各種細胞への分化誘導因子もゲノム解析の面から明らかになってくる可能性があり、それを本研究で行っている細胞移植治療や遺伝子治療へ応用することが、今後の失明予防戦略の一つの軸になるものと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2005-07-11
更新日
-

文献情報

文献番号
200400818B
報告書区分
総合
研究課題名
網膜脈絡膜・視神経萎縮症に関する調査研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
石橋 達朗(九州大学大学院医学研究院眼科学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 玉井 信(東北大学眼科)
  • 田野 保雄(大阪大学眼科)
  • 新家 眞(東京大学眼科)
  • 小椋 祐一郎(名古屋市立大学眼科)
  • 吉村 長久(京都大学眼科)
  • 寺崎 浩子(名古屋大学眼科)
  • 中澤 満(弘前大学眼科)
  • 白神 史雄(香川大学眼科)
  • 中江 公裕(南九州大学食品栄養学科)
  • 湯沢 美都子(日本大学駿河台眼科)
  • 坂本 泰二(鹿児島大学眼科)
  • 高橋 政代(京都大学探索医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
難治性・進行性で予後不良な疾患である加齢黄斑変性、網膜色素変性に代表される遺伝性網脈絡膜変性、および視神経萎縮を主な対象疾患とし、その病態解明と科学的根拠に基づいた有効な治療法確立を目的とする。
研究方法
加齢黄斑変性に対する光線力学的療法については、長期の経過観察によって日本人患者に適した治療プロトコールを完成させる。また、ステロイド薬による治療に関し検討を加える。網膜色素変性に関しては、効率的かつ簡便なスクリーニング方法を確立する。遺伝子治療については、独自に開発した発現ベクターを用いて、複数の神経保護因子を同時に導入する効果について検討する。視神経萎縮については電気的な人工視覚とともに幹細胞からの網膜再生を試みる。
結果と考察
加齢黄斑変性に対する光線力学的療法について、少なくとも短期での治療効果は日本人患者に対して欧米での報告と比較して有効であった。副腎皮質ステロイドであるトリアムシノロンアセドの硝子体内投与でも、有意な視力の改善・維持効果が得られた。網膜色素変性の原因遺伝子についてコスト・効率面で有効な診断スクリーニングシステムを立ち上げた。遺伝子治に関しては独自に開発した長期発現型ベクターを用いて、網膜色素変性モデル動物の網膜に複数の神経保護因子遺伝子を導入することによって、神経保護に有効なベクター濃度を低く抑えることができた。臨床応用へ向けて大いに発展性が期待できる。失明者に対する視覚補助具として人工網膜の開発を進めており、より少ない侵襲で網膜上に電極を設置する方法を示した。また網膜再生の試みとして、胚性幹細胞や網膜幹細胞から、分化した網膜細胞への誘導に成功している。今後3次元での網膜再生が課題である。
結論
日常生活を営む上で、その大半を依存する視覚情報を人生の途中で失う苦痛は計り知れない。本研究班が対象とする進行性・難治性疾患は、治療はおろか病態の解明すら未だ不明な部分が多い。それでも本研究班によって、病態の本質が明らかにされつつあり、治療に関しても徐々にではあるが臨床応用へ近づきつつある。今後、ヒトゲノムの機能解析が急速に進むものと予測される。例えば網膜各種細胞への分化誘導因子もゲノム解析の面から明らかになってくる可能性があり、それを本研究で行っている細胞移植治療や遺伝子治療へ応用することが、今後の失明予防戦略の一つの軸になるものと考えられる。

公開日・更新日

公開日
2005-07-11
更新日
-