難治性疾患の画期的診断・治療法等に関する研究

文献情報

文献番号
200400788A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性疾患の画期的診断・治療法等に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
山村 隆(国立精神・神経センター神経研究所疾病研究第六部)
研究分担者(所属機関)
  • 佐藤 準一(国立精神・神経センター神経研究所免疫研究部)
  • 三宅 幸子(国立精神・神経センター神経研究所免疫研究部)
  • 菊地 誠志(北海道大学大学院医学研究科神経内科学分野)
  • 神田 隆(山口大学医学部脳神経病態学講座神経内科学)
  • 楠 進(近畿大学医学部神経内科)
  • 野村 恭一(埼玉医科大学総合医療センター神経内科)
  • 川井 充(国立病院機構東埼玉病院)
  • 横山 和正(順天堂大学医学部脳神経内科)
  • 太田 宏平(東京理科大学理学部教養)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
27,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
インターフェロンベータ(IFN-beta)が多発性硬化症(MS)の予後を改善する薬剤として利用できるようなっているが、治療効果が得られない症例が存在するために、経験の少ない医師には処方しにくい薬剤である。本班の研究目的は、DNAマイクロアレイによる、MSの治療反応性の予測方法を確立し、テイラーメイド医療に有用な診断システムを開発することである。
研究方法
患者と健常者から末梢血30 mlを採取。さらに抗CD3抗体結合磁気ビーズを用いてT細胞を分離し、RNAを精製した後、遺伝子発現プロフィールを1,263種類の遺伝子を搭載したcDNAマイクロアレイによって決定した。既にMSと健常者で発現レベルの異なる286遺伝子を同定し(Neurobiol. Dis. 18:537-550, 2005)、これを識別遺伝子とし、階層クラスター解析(HCA)と主成分解析(PCA)を行った。インターフェロン治療開始後2年間にわたって定期的に診療を行い、再発回数、入院日数、ステロイドパルス療法の日数、EDSS、MRI病変数、患者満足度をチェックし、インターフェロン反応スコアにより、患者の治療反応性をスコア化した。
結果と考察
MSと健常者の遺伝子情報についてHCAとPCAを行い、これまでに得られた全情報を解析した。その結果、MSと健常者由来のT細胞サンプルが区別され、MSは、さらにA、B、C、Dの四群に分類された。インターフェロン反応スコアの高いレスポンダーは、A群の57.1%、B群の57.1%、C群の18.2%、D群の0%を占め、A群とB群ではインターフェロン治療の有効性の高いことが示唆された。免疫細胞の表面抗原解析や遺伝子多型解析(SNPs解析)を組み合わせ、各亜群の特徴を、より明確にする予定である。
結論
患者末梢血のT細胞をDNAマイクロアレイで検討することにより、MSの分子発現レベルでの亜分類(A, B, C, D)が可能になった。A群とB群にはレスポンダーが多いことが示された。これらは医師や患者にとって、きわめて有用な情報である。今後、症例数を増やして信頼性を高めるとともに、解析方法を洗練させることにより、さらに有用性の高い診断システムを構築する予定である。

公開日・更新日

公開日
2005-07-27
更新日
-