特発性大腿骨頭壊死症の予防と治療の標準化を目的とした総合研究

文献情報

文献番号
200400785A
報告書区分
総括
研究課題名
特発性大腿骨頭壊死症の予防と治療の標準化を目的とした総合研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
久保 俊一(京都府立医科大学大学院医学研究科運動器機能再生外科学)
研究分担者(所属機関)
  • 高岡 邦夫(大阪市立大学大学院医学研究科感覚・運動機能医学大講座整形外科学)
  • 進藤 裕幸(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科発生分化機能再建学講座構造病態整形外科学)
  • 松野 丈夫(旭川医科大学整形外科)
  • 松本 忠美(金沢医科大学整形外科)
  • 佛淵 孝夫(佐賀大学医学部整形外科)
  • 遠藤 直人(新潟大学大学院医歯学総合研究科機能再建医学講座整形外科学分野)
  • 吉村 了勇(京都府立医科大学大学院医学研究科移植・再生制御外科学)
  • 長澤 浩平(佐賀大学医学部内科)
  • 廣田 良夫(大阪市立大学大学院医学研究科都市医学大講座公衆衛生学)
  • 松本 俊夫(徳島大学大学院医学研究科プロテオミクス医学専攻生体制御医学)
  • 加藤 茂明(東京大学分子細胞生物学研究所)
  • 田中 良哉(産業医科大学第一内科)
  • 渥美  敬(昭和大学藤が丘病院整形外科)
  • 長谷川幸治(名古屋大学大学院医学系研究科機能構築医学専攻運動形態外科学)
  • 安永 裕司(広島大学大学院医歯薬学総合研究科展開医科学専攻病態制御医科学講座整形外科学)
  • 神宮司誠也(九州大学大学院医学研究院臨床医学部門外科学講座整形外科学分野)
  • 小林 千益(信州大学医学部運動機能学講座)
  • 津田 裕士(順天堂大学医学部膠原病内科)
  • 大園 健二(国立大阪病院整形外科)
  • 菅野 伸彦(大阪大学大学院医学系研究科臓器制御医学専攻器官制御外科学講座)
  • 田中  栄(東京大学大学院医学系研究科外科学専攻感覚運動機能医学講座)
  • 中島 滋郎(大阪大学大学院医学系研究科医学部小児発達医学)
  • 藤岡 幹浩(京都府立医科大学大学院医学研究科運動器機能再生外科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
特発性大腿骨頭壊死症(ION)は股関節の機能が障害される難治性疾患である。ステロイド投与に関係した側面があることが問題であるが、病態はいまだ完全には解明されていないのが現状である。IONの病態を解明して信頼性の高い予防法を開発すること、そして確実な診断法と機能回復・再生を目指した合理的な治療法を確立することが本研究の目的である。
研究方法
本研究では病態の解明を目指すことに加えて、実際的な予防法の開発と治療の標準化に重点をおく。記述疫学特性を把握するために疫学調査を行う。病態の解明のためにステロイドの微小循環に対する作用に関する基礎的研究を行い、動物モデルを確立する。予防ではステロイド剤投与の個別化を目的としたステロイド感受性の遺伝子レベルでの検索と血液凝固能や脂質代謝異常の抑制による予防法の開発を行う。治療の標準化では現時点で最適と考えられる標準治療を設定する。コンピューター手術シミュレーションによる適切な手術法の決定や、手術を安全で正確に行うためのコンピューター手術支援システムの開発、再生医療を用いた低侵襲治療法の開発を研究の重点領域とする。
結果と考察
疫学研究でステロイド性IONの経年的増加を確認した。動物モデルの阻血後反応性充血障害とNO bioavailability低下をアスピリン投与によって改善できた。ステロイドよる内皮細胞のアポトーシス誘導をナトリウム利尿ペプチドであるCNPが抑制できた。ウサギの大腿骨髄内の微小循環を蛍光物質をトレーサーとして生きた状態で観察できる実験系を開発した。還元型グルタチオンの投与が動物モデルのION発生率を有意に抑制した。動物モデルでION抑制効果が確認されている高脂血症治療剤と抗凝固剤をステロイドに併用する臨床研究を開始した。CYP3A4活性、Lp(a)の表現型といったION発生予防に利用可能なマーカーとなる因子を発見した。診断基準、病期分類、病型分類の妥当性と、股関節機能の予後予測への有用性が検証され、鑑別すべき疾患との差異をより明らかにすることが可能になった。大腿骨頭骨切り術のシミュレーションにおいて各症例に有効な内反や回転方向、量が評価可能になり、手術適応の限界も正確に評価することが可能となった。
結論
疫学的研究、病態解析、予防法の開発、診断の妥当性の検証、コンピューター手術支援システムの開発、治療の標準化などの各項目で本年度の目標は達成できた。

公開日・更新日

公開日
2005-05-30
更新日
-