ライソゾーム病(ファブリー病含む)に関する調査研究

文献情報

文献番号
200400784A
報告書区分
総括
研究課題名
ライソゾーム病(ファブリー病含む)に関する調査研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
衛藤 義勝(東京慈恵会医科大学小児科学講座・DNA医学研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 大橋 十也(東京慈恵会医科大学小児科学講座・DNA医学研究所)
  • 井田 博幸(東京慈恵会医科大学小児科学講座・DNA医学研究所)
  • 鈴木 義之(国際医療福祉大学 臨床医学研究センター)
  • 芳野 信(久留米大学 医学部 小児科学)
  • 田中 あけみ(大阪市立大学 医学部 発達小児医学)
  • 島田 隆(日本医科大学 生化学第二講座)
  • 酒井 規夫(大阪大学 医学部 小児科学)
  • 高田 五郎(秋田大学 医学部 小児科学)
  • 高柳 正樹(千葉県子ども病院 代謝科)
  • 大野 耕策(鳥取大学 医学部 脳神経小児科)
  • 辻 省次(東京大学 医学部 神経内科学)
  • 難波 栄二(鳥取大学遺伝子実験施設)
  • 鈴木 康之(岐阜大学 医学部 医学教育開発研究センター)
  • 桜庭 均(東京都臨床医学総合研究所 臨床遺伝学研究部門)
  • 北川 照男(東京都予防医学協会)
  • 桜川 宣男(東邦大学 医学部 SRL代謝病再生医学寄付講座)
  • 奥山 虎之(国立成育医療センター 遺伝診療科)
  • 坪井 一哉(JR東海総合病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
24,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究班の目的は、様々な角度の研究を行うことによりライソゾーム病(LSD)患者さんのQOL、ADLを改善する事である。
研究方法
現時点でのLSD患者さんのQOL,ADLはアンケートによる全国規模の調査研究を成人型ゴーシェ病、ファブリー病、ムコ多糖症を対象に行った。また現時点での治療法である、酵素補充療法、骨髄移植療法に関してもファブリー病、ムコ多糖症、クラッベ病を対象に検討を加えた。診断法の開発に関してはタンデムマスを用いての尿中脂質分析によるファブリー病のスクリーニング法の開発、およびレクチンを用いてのガラクトシアリドーシス/シアリドーシスの診断法の開発を行った。新規治療法に関しては、ケミカルシャペロン法、遺伝子治療法の開発を行った。また新規治療法開発に結びつくような、病態の解明に関する研究も行った。
結果と考察
ムコ多糖症のADLの検討では、小児軽症例では10歳以降では完全自立していたが重症例では5?6歳で既に特に認知面で低下が認められ、その後は進行性に低下した。成人軽症例(18歳以上)ではADLの低下が認められた。成人ゴーシェ病、ファブリー病のFIMを用いた検討ではADLは全例完全自立であった。SF36によるQOLに関してはいくつかの項目で低値であった。ファブリー病における酵素補充療法の効果の検討は32例について行い、早期治療の重要性が示唆された。ムコ多糖症II型、若年型クラッベ病では骨髄移植の有効性を明らかにした。診断法では、タンデムマスおよびレクチン用いての新規診断法を確立した。新規治療法開発では、ケミカルシャペロン法に関しては、新しく有機合成された物質NOEVが酵素活性を上昇される遺伝子変異をスクリーングし、約30%の遺伝子変異で活性が上昇することを明らかした。遺伝子治療法に関しては異染性脳白質変性症では欠損酵素の遺伝子だけではなく、その活性化因子の遺伝子も同時に細胞に導入すると活性が20倍に上昇することを明らかにした。病態に関しては多くの研究を行ったが、特にニーマンピック病Cでは、細胞が恒常的に炎症性サイトカインを分泌しており、これにより著明なアストログリオーシスが起きている事を明らかにした。この炎症性変化をコントロールすることにより本症の治療に結びつくと思われた。
結論
ライソゾーム病患者さんのADL,QOLを明らかにした。また新規の診断法、治療法を開発した。また治療法の開発の基礎データとなる病態解析を様々な各度より行った。

公開日・更新日

公開日
2005-07-27
更新日
-