文献情報
文献番号
200400783A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性炎症性腸管障害に関する調査研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
日比 紀文(慶應義塾大学医学部内科)
研究分担者(所属機関)
- 棟方 昭博(弘前大学医学部消化器病学)
- 藤山 佳秀(滋賀医科大学医学部消化器病学)
- 飯田 三雄(九州大学大学院医学研究院病態機能内科消化器内科)
- 石川 博通(慶応義塾大学医学部微生物学免疫学)
- 佐々木 巖(東北大学大学院医学系研究科外科病態学生態調節外科)
- 味岡 洋一(新潟大学大学院医歯学総合研究科分子病態病理学人体病理学)
- 櫻井 俊弘(芦屋町立芦屋中央病院)
- 上野 文昭(大船中央病院消化器肝臓病センター)
- 高後 裕(旭川医科大学消化器内科)
- 千葉 勉(京都大学大学院医学研究科消化器病態学)
- 松本 誉之(兵庫医科大学総合内科下部消化管)
- 木内 喜孝(東北大学大学院医学研究科内科病態学消化器病態学)
- 武林 亨(慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学)
- 名川 弘一(東京大学大学院医学研究科臓器病態外科学腫瘍外科)
- 杉田 昭(横浜市立市民病院消化器外科)
- 土肥 多惠子(国立国際医療センター研究所消化器疾患研究部)
- 岡野 栄之(慶應義塾大学医学部生理学)
- 坪内 博仁(宮崎大学医学部消化器病・肝臓病)
- 今井 浩三(札幌医科大学医学部消化器内科学)
- 杉村 一仁(新潟大学大学院医歯学総合研究科消化器内科)
- 渡辺 守(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科消化・代謝内科学消化器病学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 難治性疾患克服研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
52,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
潰瘍性大腸炎(UC)とクロ-ン病(CD)の現状・実態を調査し、病因や増悪につながる因子を明らかにする。さらに遺伝学的・免疫学的な基礎研究を通じて病因・病態の解明をすすめ、新しい治療法の開発、予防法の確立を図る。また、現行の診断基準、治療指針の整備を進め、正しい医療情報の伝達・普及により本症患者のQOL向上に努める。
研究方法
以下のプロジェクト(p) を設け、研究者同士が密接な連絡を保ち、調査研究を実施した。p-1:内科的治療法の工夫と2004年度治療指針案、p-2:外科的治療法の確立と工夫、p-3:QOLの評価と改善、p-4:データベースの拡充・活用と疫学的解析、p-5:医師主導の臨床試験の実施とその評価、p-6:サーベイランスの確立、p-7:疾患関連遺伝子の追究、p-8:腸内細菌の関与(病態・治療への応用)、p-9:病態追究(病因解明に向けて)、p-10:エビデンスに基づく診療ガイドライン開発と診療オプションの策定、p-11:広報活動・情報企画、分科会:粘膜再生治療
結果と考察
疫学的検討(p-4):個人調査票によるデータ解析を行い、本邦における両疾患の実態が把握された。病因・増悪因子の検索(p-7,8,9):遺伝学的検討では欧米人とは異なる日本人UC特有の感受性遺伝子領域を特定した。免疫学的検討ではCDの腸間膜リンパ節内でTh1免疫反応が亢進しており、CDの病態において腸間膜リンパ節における免疫反応がトリガーになっている可能性が示唆された。診断・治療 (p-1,2,5,6,10):UCにおいては免疫抑制剤を中心とする緩解維持治療を加えた治療指針の改訂を行った。CDにおいては抗TNF-α抗体(infliximab)の反復投与の現状を明らかにした。外科的治療法についてはUC術後pouchitisの基準となる内視鏡アトラスを作成した。UC癌化について代表的な内視鏡所見を集積したサーベイランスのためのアトラスを作成した。再生分科会:肝細胞増殖因子の投与による腸炎の軽減、再生修復過程の促進が示された。
結論
個人調査票によるデータを理論疫学的に解析することによって本症の実態が明らかとなり、現行の治療指針の改訂と診療ガイドラインの策定によって診療レベルの向上、均一化が可能となった。遺伝子研究、免疫異常や腸内細菌叢の面から見た病因・病態解明によって、病態にもとづいた新治療法の開発への手がかりが得られた。
公開日・更新日
公開日
2005-04-04
更新日
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