骨髄間質細胞からの神経並びに筋細胞の選択的誘導とパーキンソン病・筋ジストロフィーへの自家移植治療法の開発

文献情報

文献番号
200400780A
報告書区分
総括
研究課題名
骨髄間質細胞からの神経並びに筋細胞の選択的誘導とパーキンソン病・筋ジストロフィーへの自家移植治療法の開発
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
出沢 真理(京都大学(大学院医学研究科))
研究分担者(所属機関)
  • 星野幹雄(京都大学(大学院医学研究科))
  • 菅野洋(横浜市立大学(医学部))
  • 武田伸一(国立精神・神経センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
骨髄間質細胞は倫理問題なく患者本人から採取容易であり、増殖性に優れた細胞である。この細胞から機能的な神経細胞および骨格筋細胞を他の要素を含む事なく選択的に誘導する方法を開発し、現在有効な治療法の無い神経・骨格筋変性疾患に対する細胞移植治療の突破口を開くことを目的とする。平成16年度は神経細胞及び骨格筋細胞の選択的な誘導法の開発と誘導機構の理論的裏付けを行い、移植実験に向けた基盤を作る。
研究方法
ヒトおよびラットの骨髄間質細胞を採取・培養した。これらの細胞に発生分化を制御するNotch細胞質ドメインの遺伝子を導入し、basic FGF, CNTF, cAMP上昇剤であるForskolinを投与した。骨格筋細胞は骨髄間質細胞にbasic FGF, PDGF, Neuregulin, Forskolinを投与し、続いてNotch遺伝子を導入することによって、極めて高い効率で他の要素を含む事無く誘導された。
結果と考察
神経細胞誘導:Notch遺伝子を導入することによって神経幹細胞様に分化転換し、それらの細胞にサイトカイン刺激を与えると96%の細胞が機能的な神経細胞に分化し、活動電位を記録することが出来た。この最終産物にはグリア細胞が一切含まれておらず、神経細胞だけで構成されている。さらにGDNFを投与するとドーパミン作動性ニューロンに分化し、パーキンソンモデルラットの線状体に移植したところ顕著な症状改善を認めた。
骨格筋誘導:誘導でPax7+のsatellite cellと筋芽細胞並びに自発的な収縮能を持つ多核の骨格筋細胞が得られた。これらの細胞は骨格筋のマーカーを発現し、筋ジストロフィーのモデルマウス生着しdystrophinの発現を
認めた。
結論
骨髄間質細胞は倫理問題なく容易に採取可能な細胞である。また培養において旺盛に増殖するのでこの細胞から大量に効率よく神経細胞、骨格筋細胞が誘導される本方法は根本治療の無い神経および筋肉変性疾患への細胞移植治療において現実的な有効性があると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2005-04-28
更新日
-