プリオン病の画期的治療法に関する臨床研究と基礎研究

文献情報

文献番号
200400779A
報告書区分
総括
研究課題名
プリオン病の画期的治療法に関する臨床研究と基礎研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
堂浦 克美(東北大学大学院(医学系研究科))
研究分担者(所属機関)
  • 山田 達夫(福岡大学(医学部))
  • 福島 武雄(福岡大学(医学部))
  • 片岡 泰文(福岡大学(薬学部))
  • 児玉 南海雄(福島県立医科大学(医学部))
  • 水澤 英洋(東京医科歯科大学大学院(医歯学総合研究科))
  • 山田 正仁(金沢大学大学院(医学系研究科))
  • 村本 環(東北大学大学院(医学系研究科))
  • 西田 教行(長崎大学大学院(医歯学総合研究科))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
22,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
多数の後天性プリオン病が若年層でも発生しており、実効性のある予防治療法が至急に求められている。本研究は、(1)主任研究者が開発したペントサンポリサルフェート(PPS)脳室内持続投与療法をプリオン病患者に実施して、その効果と安全性について検討を行い、改良を加え普及させることと、(2)PPS脳室内治療法に取って代わる末梢投与可能な治療薬の開発と次世代の画期的治療法の開発を行うことを目的としている。
研究方法
(1) PPS脳室内治療法の臨床研究に必要な環境整備を行い、プリオン病患者に同治療法を実施する。また、同治療法について啓発活動を行い、適応症例の早期発掘に努める。(2)疾患動物において末梢投与で有効な薬剤について、より詳細な治療効果検討を行うとともに薬効成分を同定する。また、画期的治療法としてワクチンなどの治療法の可能性を検討する。さらに、プリオン病の神経変性の抑制手段を開発するための実験系を構築する。
結果と考察
(1) PPS脳室内治療法の臨床研究のための環境整備を完了し、2名の進行期CJD患者において研究を開始した。22μg/㎏/日の維持量では明らかな症状改善を認めていないが、合併症や副作用も出現していない。最適投与量の決定や片側脳室投与の妥当性について、症例を蓄積して検討していく必要がある。関連学会・研究班との連携により、プリオン病治療に関する啓発が着実に進展した。また、適応症例を増やすために早期診断の推進にも努め、啓発効果が認められた。PPS脳室内治療法を実施できるのは現在のところ九州の1施設のみであるので、参加施設を増すように働きかけが必要である。(2)末梢投与で治療効果がある薬剤について、最適投与量などを明らかにするとともに予防的効果を発見し、これらの薬剤に共通する薬効成分を同定し得た。構造活性相関による最適化と作用機序解明が今後の課題である。一方、異なるプリオン株の重感染において、干渉現象を確認した。この機序解明が進めば新たな治療法に結びつく可能性もある。また、神経変性抑制剤開発の実験系として異常化膜貫通型プリオン蛋白の発現モデル動物の作製に着手し、本年は種々の膜貫通型プリオン蛋白が異常化能を持つことを確認した。
結論
プリオン病治療法としてPPS脳室内治療法の臨床研究を開始し、治療ネットワークの構築に努めた。また、同治療法にとって代わる次世代型治療法の開発において、いくつかの有望な発見があった。

公開日・更新日

公開日
2005-04-21
更新日
-