HTLV-Iプロアテーゼ阻害剤によるHAM治療法の開発ならびにHAM発症予防に関する研究

文献情報

文献番号
200400777A
報告書区分
総括
研究課題名
HTLV-Iプロアテーゼ阻害剤によるHAM治療法の開発ならびにHAM発症予防に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
納 光弘(鹿児島大学(医歯学総合研究科))
研究分担者(所属機関)
  • 木曽 良明(京都薬科大学薬品化学教室・創薬科学フロンティア研究センター)
  • 足立 昭夫(徳島大学大学院医学研究科)
  • 外丸 詩野(北海道大学大学院医学研究科)
  • 中村 龍文(長崎大学大学院医学研究科)
  • 久保田 龍二(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科)
  • 宇宿 功市郎(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
25,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
成人T細胞白血病ウイルス(HTLV-I)関連脊髄症(HAM)はHTLV-I感染者に発症しHTLV-Iウイルス量が著明に増加しているが、ウイルスを特異的に減少させる根治療法は確立されていない。本研究ではこれを可能にするHTLV-Iウイルス特異的プロテアーゼ阻害剤の開発を目指す。また、適切な治療時期を選択しHTLV-I感染者からのHAM発症を予防するための、HAMの病態解明と発症予測に関する研究も行う。
研究方法
ヒトに投与可能な薬剤の開発のために、(1)HTLV-I特異的プロテアーゼ阻害剤自身の開発、(2)HTLV-Iウイルス感染価定量法の開発、(3)HAM疾患モデルの開発、治療実験を行う。またHAM発症予防のために、(1)HAM病態の解明、治療法の開発、(2)HAM発症関連宿主遺伝子の同定並びに発症予測システムの開発を行う。
結果と考察
木曽は現在までに得られたプロテアーゼ阻害化合物をリード化合物として、側鎖の詳細な検討を行い、高力価で分子量が小さい化合物を得た。薬剤開発目標のもう一歩のところまで到達したと思われる。足立はHTLV-Iウイルス増殖の高感度な測定系を確立し、感染細胞内のウイルス活性を測定できることを明らかにした。外丸は、HAM感受性動物モデルと発症抵抗性動物との比較検討によりIFN-g等の分子が発症に関与していることを明らかにした。納はLactobacillus casei Shirota株をHAM患者に投与し、神経症状の改善を認めた。また、中村はgarlicの抽出成分であるallicinにより、HTLV-I感染細胞のウイルスの減少効果を見出した。これらは新たなHAMの治療法として期待できると考えられる。久保田は細胞傷害性Tリンパ球を解析し、多様なリンパ球集団のほうが効率よくウイルスを排除することを見出した。納らは新たなHAM発症に関与する宿主感受性遺伝子を同定した。またHTLV-I感染キャリアのHAM発症高リスク群の抽出を行った。宇宿は日本人とイラン人のHAMの比較検討により両者に共通する発症促進因子として、特定のHLAクラスII因子を同定した。
結論
本研究により、HTLV-Iプロテアーゼ阻害剤の開発はさらに進展した。また、HAMの病態解明および発症予測の研究も進展した。今回の研究を今後さらに発展させることで、当初の目標が達成できると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2005-04-20
更新日
-