高機能広汎性発達障害にみられる反社会的行動の成因の解明と社会支援システムの構築に関する研究

文献情報

文献番号
200400765A
報告書区分
総括
研究課題名
高機能広汎性発達障害にみられる反社会的行動の成因の解明と社会支援システムの構築に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
石井 哲夫((社)日本自閉症協会)
研究分担者(所属機関)
  • 山崎 晃資(東海大学教育研究所)
  • 白瀧 貞昭(武庫川女子大学)
  • 須田 初枝(社会福祉法人けやきの郷)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
15,632,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
青少年犯罪(反社会的行動)と高機能広汎性発達障害(HPDD)およびアスペルガー症候群(AS)との関連が注目されている。本研究では、①診断マニュアルと精神医学的併存症に関する研究、②早期支援システムに関する研究、③青年期・成人期における社会的支援システムの構築に関する研究、④福祉施設間の連携に関する研究を行った。
研究方法
①東京都自閉症・発達障害支援センター、児童精神科病院、司法機関におけるケースについての統計調査と事例検討を行い、自閉症診断面接改定版(ADI-R)・日本語版の妥当性を検討した。②乳幼児健診におけるHPDDハイリスク児の検出方法と学齢期まで一貫する早期療育システムの在り方を検討した。③犯罪を犯したHPDDおよびASの人々について詳細な事例研究を行い、雑誌記事検索データベースからマスコミ報道の在り方を検討した。④社会福祉施設におけるHPDDの人々に対する対応の仕方と意識を調査した。
結果と考察
①HPDDの人々に対する継続的支援システムがなく、行き場がなく家庭崩壊状態にある事例が多いことから、自閉症・発達障害支援センターの体制を早急に改善する必要がある。②乳幼児健診でHPDDハイリスク・ベビーを早期発見するポイントが明らかになり、継続的な療育の在り方が具体的に示された。③司法事例の検討から予防的対応の可能性が示唆され、フレームワーカーおよび一時的避難シェルターの必要性が論じられた。④福祉施設間の連携による予防的対策の実施可能性が認めら、ポイントが整理された。
結論
HPDDおよびASの人々の反社会的行動には共通する生起メカニズムがあり、彼/彼女たちの障害特性を基盤とする社会的不適応行動が反社会的行動に変化する前兆をうまくとらえた適切な予防的対応を行うことができれば、相当数の事例で反社会的行動の顕在化を防ぐことができる可能性を見出した。さらに、幼児期・学齢期から適切な対応がなされれば、青年期・成人期の反社会的行動の発現もかなりの確立で予防し得ることも示唆された。反社会的行動の社会的支援システムを構築することも夢ではなくなってきた。

公開日・更新日

公開日
2005-05-09
更新日
-