児童思春期精神医療・保健・福祉の介入対象としての行為障害の診断及び治療・援助に関する研究

文献情報

文献番号
200400764A
報告書区分
総括
研究課題名
児童思春期精神医療・保健・福祉の介入対象としての行為障害の診断及び治療・援助に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
齊藤 万比古(国立精神・神経センター精神保健研究所児童・思春期精神保健部)
研究分担者(所属機関)
  • 中島 豊爾(岡山県立岡山病院)
  • 奥村 雄介(関東医療少年院医務課)
  • 犬塚 峰子(東京都児童相談センター)
  • 近藤 直司(山梨県精神保健福祉センター)
  • 藤岡 淳子(国立大学法人大阪大学大学院人間科学研究科)
  • 市川 宏伸(東京都立梅ヶ丘病院)
  • 原田 謙(国立大学法人信州大学医学部附属病院子どものこころ診療部)
  • 吉川 和男(国立精神・神経センター精神保健研究所司法精神医学研究部)
  • 富田 拓(国立武蔵野学院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は児童思春期の「行為障害」概念を検討し、その精神疾患としての枠組みを明らかにすること、発現要因あるいは背景要因を解明すること、機関連携を含めた治療・対応に関する諸技法の開発・運用を行うこと、それらを総合した実践的な診断・治療ガイドラインを作成することを目的として計画されたものである。
研究方法
本研究は9名の分担研究者および主任研究ワーキング・グループによる計11研究課題を3班に分けて実施している。研究の実施法は大きく二種類に分かれており、第一群は探索的な調査を中心とする研究であり、奥村、藤岡、犬塚、近藤、原田、市川、中島、富田の各分担研究者の研究と、主任研究者ワーキング・グループによる調査がそれにあたる。第二群はモデル的な介入法を実験的に実施し、その方法に関する指針を明確に提示するための研究である。吉川は富田をはじめ多くの研究協力者の協力により、文献的なレビューおよび症例検討を通じて、この障害に有効な治療技法を体系的に整理することに取り組んだ。主任研究者ワーキング・グループは、昨年度に作成した『精神疾患を背景に持つ児童思春期の問題行動に対する対応・連携システムの設置および運営に関するガイドライン』が推奨している対応・連携システムの試験運用に取り組み、16年度は千葉県市川市および大分県をモデル地域とする対応・連携システムの設置に取り組んだ。
結果と考察
奥村が作成した行為障害のチェックリスト(CDCL)を用いた調査から、非行群男子の暴力性は低年齢では未分化・短絡的・衝動的であったものが、高年齢になると組織化・計画化・構造化されてくること、全国児童相談所で非行相談として受理された子どもは、中学生年代が7割を占め、8割強の子どもが心理的・精神的問題を抱え、2割がADHDなどの精神医学的障害と診断されていること、半数が養育者の変更を経験し、3割が虐待を受けていること、行為上の障害をもつ青年に精神科治療を提供するには、医療機関が医療に専念できる構造づくりが不可欠であり、とりわけ司法機関に違法行為への明確な対応をおこなうよう要請することが必要であること等が明らかとなった。さらに、ガイドラインに基づく地域連携システムの設置・運用を続け、行為障害等への対処法としての有用性を示していくこと、および行為障害の包括的治療体系を確立することが求められている。
結論
本年度はパイロット・スタディの範囲にあった諸研究を、次年度以降はより詳細な調査および検討を加えることで推進し、最終年度には実践的な『行為障害の診断・治療ガイドライン』作りを予定通り目指す。

公開日・更新日

公開日
2005-04-21
更新日
-