ストレス性精神障害の予防と介入に携わる専門職のスキル向上とネットワーク構築に関する研究

文献情報

文献番号
200400763A
報告書区分
総括
研究課題名
ストレス性精神障害の予防と介入に携わる専門職のスキル向上とネットワーク構築に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 寛(財)21世紀ヒューマンケア研究機構 兵庫県こころのケアセンター 研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 飛鳥井 望(東京都精神医学総合研究所)
  • 小西聖子(武蔵野大学)
  • 広常秀人(財)21世紀ヒューマンケア研究機構 兵庫県こころのケアセンター)
  • 前田正治(久留米大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 医療・保健・福祉の現場では、ストレス性精神障害の事例に遭遇する機会は増え続けており、関与する専門職の質の向上は急務の課題である。その際、専門職が受ける心理的影響の大きさに注目することも重要である。なぜなら、被害体験に二次的に暴露されることによって、外傷後ストレス障害(PTSD)と同様の症状を来したり、精神的疲弊によって離職するなどの問題が生じることがあるからである。また、職業的救援者では、悲惨な現場の目撃、同僚の殉職などを経験することによって強い影響を受けることがあり、これは特に惨事ストレスと呼ばれている。これらに適切に対処し専門職の精神衛生の向上を図り、その業務の質を高めることは、サービスの受け手である国民にとって大きな恩恵をもたらすと考えられる。本研究では、対人援助職および災害救援者の業務関連ストレスと、その心身の健康に与える影響について実態調査を行った。同時に、欧米で提唱されている予防介入の方法について検討した。
研究方法
 職務に関連する外傷性ストレスとその影響について、①災害救援者や対人援助職における実態調査、②介入および支援方法の現状と効果の評価、を行った。実態調査の対象としたのは、消防士、女性センター職員、保健師、および海上保安庁職員などである。
結果と考察
 各調査の結果、いずれの職域でも日常から外傷性ストレスとなりうる事態に、高率に遭遇していることが分かった。また、PTSDのハイリスク者と判断される者の割合は、消防隊員11%?15%、女性センター職員22%、保健師11%、海上保安官13%であった。災害救援や対人援助の職域では、職務に関連した外傷性ストレスの影響は看過できない問題であることが、実証された。また、介入法として欧米では、心理教育を中心とした認知行動療法的アプローチが行われており、今後わが国でも、各職域の特性に応じた教育プログラムを開発し導入する必要があると考えられた。
結論
 本研究をとおして、職域におけるストレス性精神障害のリスクの大きさが実証された。各職域での予防的対策は未だ不十分であり、今後、対策の充実が求められる。なお、本研究班は調査と併行して、いくつかの職域で教育機会や資料を提供し始めており、保健・医療・災害救援などの分野での職務関連ストレスへの関心を高め具体的な施策を展開する上での取り組みを行っている。

公開日・更新日

公開日
2005-08-03
更新日
-