パニック障害の治療法の最適化と治療ガイドラインの策定

文献情報

文献番号
200400762A
報告書区分
総括
研究課題名
パニック障害の治療法の最適化と治療ガイドラインの策定
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
久保木 富房(東京大学大学院学系研究科内科学専攻ストレス防御心身医学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 大野 裕(慶應義塾大学保健管理センター)
  • 岡崎 祐士(三重大学医学部精神神経科学講座)
  • 竹内 龍雄(帝京大学医学部附属病院市原病院精神医学)
  • 野村 忍(早稲田大学人間科学部心身医学)
  • 平安 良雄(横浜市立大学大学院医学研究科精神医学教室)
  • 原井 宏明(国立療養所菊池病院臨床研究部)
  • 穐吉 條太郎(大分大学精神神経医学教室)
  • 塩入 俊樹(新潟大学大学院医歯学総合研究科精神医学分野)
  • 佐々木 司(東京大学保健センター精神科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目標は、パニック障害の薬物療法及び心理学的治療法のエビデンスに基づいた選択と実施を可能にし、質のよい治療を提供するための医療システムのあり方を提言し、治療ガイドラインを策定することである。本年度は3年計画の1年目として、それぞれの領域で研究の準備と開始に取り組むことを目的とした。
研究方法
主任・分担研究者の施設において、パニック障害患者及び健常者を対象に、身体的要因の検討(脳機能・構造、脳波、自律神経、睡眠生理、遺伝子)、心理的要因の検討(認知行動療法、ストレスコーピングとQOL)、治療システムの検討(精神科・心療内科開業医の医療実態、精神科受診経路の調査)、治療ガイドラインの検討(エキスパートコンセンサスの作成)に取り組んだ。
結果と考察
以下は結果が出たもののみ。身体的要因:脳機能・構造-①患者63名と健常者13名で語流暢課題検査の効果を近赤外線酸素モニターで検討、患者では前頭部の血流変化なし。患者・健常者12名ずつで「悲しみ」表情の動画への反応を機能的核磁気共鳴画像で検討、島、楔前部の反応が患者群で大。脳波-①未治療患者・健常者18名の比較で、患者群で前頭部半球間、両側頭部半球内のコヒーレンス値が低下。自律神経-①映像負荷前後の圧反射、瞳孔対光反射で、自律神経調整能低下、副交感系機能異常あり。睡眠生理-①閉塞性睡眠時呼吸障害1352名と睡眠時パニック44名で、前者がパニック障害に発展する例はごく少数のみ。心理的要因:認知行動療法-①認知行動療法+薬物療法16名と薬物療法のみ8名では、前者で、回避行動、主観的不安反応、パニック障害の重症度などで改善大。QOL-①6ヶ月以上認知行動療法による治療を受けた32名で、問題解決型対処ストラテジーの増加と逃避型対処の減少とともにQOLの全般的改善あり。治療システム:①9ヶ所の精神科・心療内科開業医の実態調査で、パニック障害の診断は全ての施設で上位4位以内。②精神科受診経路に関する10施設のデータでは、パニック障害の症例数は少なく、精神疾患全般に関して身体科開業医で精神科受診の遅れが増大。治療ガイドライン:エキスパートコンセンサスによるプライマリケア医を対象にしたガイドラインを作成。
結論
今年度は、それぞれの研究領域で、準備と研究の開始に取り組んだが、いくつかの課題ではすでに実質的な成果が上がっている。

公開日・更新日

公開日
2005-09-27
更新日
-