ゲノム医学を活用した統合失調症及び気分障害に対する個別化治療法の開発

文献情報

文献番号
200400759A
報告書区分
総括
研究課題名
ゲノム医学を活用した統合失調症及び気分障害に対する個別化治療法の開発
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
染矢 俊幸(新潟大学教育研究院医歯学系)
研究分担者(所属機関)
  • 兼子 直(弘前大学医学部)
  • 尾崎 紀夫(名古屋大学大学院医学系研究科)
  • 近藤 毅(琉球大学医学部)
  • 山田 光彦(国立精神・神経センター精神保健研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 精神科薬物療法は統合失調症、気分障害などの精神疾患の治療において重要な役割を担っているが、薬物の反応性には個人間に大きな差が存在し、各個人に適した薬剤選択・用量設定の目安となるような客観的指標はいまだ開発されていない。この問題を解決するには各向精神薬の薬理作用や疾患の治癒機転に関連する薬理ゲノム情報の解析がきわめて有用と思われる。
 本研究では統合失調症及びうつ病における薬物の臨床効果・副作用の推移とゲノム情報との関連を検討し、統合失調症と気分障害の治療期間短縮、これらの疾患による労働生産性の低下・長期入院の減少・精神科病床数の削減・自殺数減少などを可能とする個別化治療の確立を目的とした。
研究方法
 本研究は以下の3分野に分けて行われた。
・抗精神病薬の反応性と副作用に関する分子薬理遺伝学的研究
・抗うつ薬の反応性と副作用に関する分子薬理遺伝学的研究
・抗うつ薬奏効機転関連分子の機能解明とその遺伝子多型の探索
 また本研究は、文部科学省、厚生労働省、経済産業省告示第1号の「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」を遵守した研究計画書を作成し、各研究機関の遺伝子倫理委員会において承認を受けた上で行われた。
結果と考察
 本年度は「抗精神病薬の反応性と副作用に関する分子薬理遺伝学的研究」についてはrisperidone症例、olanzapine症例それぞれ50名を新たに収集し、候補遺伝子座位の同定を行った。また「抗うつ薬の反応性と副作用に関する分子薬理遺伝学的研究」についてもfluvoxamine約100症例の追加サンプルを収集し、臨床症状・副作用と候補遺伝子の関連について検討した。さらに「抗うつ薬奏効機転関連分子の機能解明とその遺伝子多型の探索」に関しては、今後の研究における基盤データを蓄積した。
 平成16年度におけるsample収集は順調に進んでおり、フィジビリティースタディーとしての研究目標がほぼ達成された。平成17年度はさらに研究者間の連携を高め、包括的なゲノム解析を行う予定である。
結論
 本研究の成果により、向精神薬の臨床効果および副作用のゲノムレベルでの機序の解明、ならびに治療反応性に関連した遺伝子多型の発見と新しい診断法・治療法の開発のための基盤的知識の獲得が期待できる。

公開日・更新日

公開日
2005-04-26
更新日
-