発現型RNAiを用いた神経・筋疾患の画期的遺伝子治療法の開発

文献情報

文献番号
200400744A
報告書区分
総括
研究課題名
発現型RNAiを用いた神経・筋疾患の画期的遺伝子治療法の開発
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
水澤 英洋(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科脳神経病態学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 横田 隆徳(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科脳神経病態学分野)
  • 吉田 雅幸(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科病態代謝解析学)
  • 多以良 和誠(東京大学 大学院工学系研究科化学生命工学)
  • 宮岸 真(東京大学 大学院医学系研究科化学生命工学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
34,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症、アルツハイマー病などの神経変性疾患、脳血管障害などに対するsiRNAを用いた治療法の開発を推進する。
研究方法
これらの対象疾患に対する特異的siRNAを設計し培養細胞にてその効果を評価するとともに、SOD1に対するsiRNA導入したトランスジェニックマウスを作製し、当該疾患モデル動物との掛け合わせによりその治療効果を判定する。臨床応用がより行いやすいと思われるウイルス感染症の検討も続ける。ベクターとデリバリーの改良を進め、siRNAの標的部位の予測効率を向上させ、siRNAライブラリーを構築する。
結果と考察
G93A-SOD1、MJD1、BACE1、E-selectinなどの特異的siRNAを作製し蛋白合成のみならず機能抑制にも成功した。内因性SOD1遺伝子発現を90%抑制するsiRNA過剰発現トランスジェニックマウスの作製に成功し、家族性筋萎縮性側索硬化症モデルマウスと掛合わせてその治療に成功した。C型肝炎について類縁疾患の霊長類モデルを用いた研究が進展した。アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクターあるいはカチオニック・リポソームベクターの改良が進み、ハイドロダイナミック法でも肝臓のみならず脳の血管内皮細胞におけるsiRNA治療にも成功した。レポーター遺伝子系を用いて効率的標的部位予測アルゴリズムを開発し、1,000以上の遺伝子に対するsiRNAライブラリーを構築して、新規機能遺伝子を同定することができた。
結論
多くの疾患あるいは標的遺伝子特異的siRNAの作製に成功し、siRNAトランスジェニックマウスにてsiRNAによる遺伝子治療が有効であることを初めて証明した。C型肝炎の治療研究が進むとともに、ベクターとデリバリーの改良も進展した。効率のよい標的部位予測法を開発しsiRNAライブラリーの構築にも成功した。このことは新しい治療標的の選定等さまざまな活用が期待される。

公開日・更新日

公開日
2005-11-11
更新日
-

文献情報

文献番号
200400744B
報告書区分
総合
研究課題名
発現型RNAiを用いた神経・筋疾患の画期的遺伝子治療法の開発
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
水澤 英洋(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科脳神経病態学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 横田 隆徳(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科脳神経病態学分野)
  • 吉田 雅幸(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科病態代謝解析学)
  • 多以良 和誠(東京大学 大学院工学系研究科化学生命工学)
  • 宮岸 真(東京大学 大学院医学系研究科化学生命工学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
発現型RNA干渉を用いて、いまだ根本的治療法のない神経変性疾患や大きな機能障害を残しうる脳血管障害などに対する画期的な治療法の開発を目指して基礎的研究を行う。
研究方法
筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症、アルツハイマー病等に対する特異的siRNAを作製しまず培養細胞レベル、ついで動物モデルにてその効果を検証する。発現型RNAiのためのベクターを開発し、そのデリバリーについても工夫する。より効率的な標的部位の予測法の開発やsiRNAライブラリーを作製する。
結果と考察
筋萎縮性側索硬化症、Machado-Joseph病、パーキンソン病、アルツハイマー病等に対する特異的siRNAを完成し培養細胞レベルでの治療に成功した。脳血管障害では動脈硬化促進分子E-セレクチンのsiRNAで培養血管内皮細胞での治療効果を確認し、C型肝炎ウイルスに対しても非常に効率がよいsiRNAを作製して類似疾患をきたす霊長類モデルにて研究を推進した。アデノウイルス・アデノ随伴ウイルス・リポソームベクターを開発し、デリバリーでは中枢神経系への直接注入の他、ハイドロダイナミック法で末梢から脳の血管内皮細胞や肝臓への導入に成功した。内因性SOD1遺伝子発現を90%抑制するsiRNAトランスジェニックマウスの作製と家族性筋萎縮性側索硬化症モデルマウスとの掛合わせによる治療に成功した。パーキンソン病の一つPark7の原因遺伝子DJ-1の酸化ストレス抑制機能を証明した。世界に先駆けて発現型siRNAベクター系を開発・改良した。効率的標的部位予測アルゴリズムを開発し、1,000以上の遺伝子のsiRNAライブラリーを構築し、アポトーシス関連の新規機能遺伝子とその経路を同定した。
結論
多くの神経変性疾患、脳血管障害、ウイルス感染症などにおける標的遺伝子に対して特異的siRNAを作製し培養細胞レベルでの治療に成功し、さらにsiRNAトランスジェニックマウスにてこ遺伝子治療の有効性が初めて証明された。ウイルス性・非ウイルス性ベクターの開発やデリバリー法の改良も進展し、効率的標的部位予測法が開発され、多数の遺伝子をカバーするsiRNAライブラリーが構築された。当初の目的は達成されたが、今後血液脳関門を克服することとこの治療の長期有効性や長期安全性などの確立が期待される。

公開日・更新日

公開日
2005-11-11
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-02-03
更新日
-