文献情報
文献番号
200400743A
報告書区分
総括
研究課題名
神経遺伝病に対するケミカルシャペロン療法の開発
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 義之(国際医療福祉大学(臨床医学研究センター))
研究分担者(所属機関)
- 黒澤美枝子(国際医療福祉大学(基礎医学研究センター))
- 松田潤一郎(国立感染症研究所(獣医科学部))
- 難波栄二(鳥取大学生(命機能研究支援センター))
- 大野耕策(鳥取大学(医学部))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
遺伝子変異による神経遺伝病の新しい治療法、ケミカルシャペロン療法の確立を目的とする。この理論はすでに試験管内と細胞内実験により確認された。本研究ではモデル疾患として、β-ガラクトシダーゼ欠損症(GM1-ガングリオシドーシス)を対象とした研究を行った。
研究方法
ヒトβ-ガラクトシダーゼR201C変異発現マウス(ヒト若年型GM1-ガングリオシドーシスのモデル動物)をシャペロン化合物N-オクチル-4-エピ-β-バリエナミン(NOEV)投与実験に用いた。今年度は3mM水溶液を4ヶ月間経口投与した。
結果と考察
モデルマウス4匹の発症直前、生後6ヶ月から4ヶ月間投与後、治療群に後肢まひの発症予防効果を観察した。尾を保持し逆さにぶら下げたときの後肢振戦、平面上直線的な歩行時の肢位に差を認めた。NOEV類似のグルコース類似化合物N-オクチル-β-バリエナミン(NOV)がβ-グルコシダーゼ欠損症(ゴーシェ病)症例に、変異特異的に有効であることも分かった。
結論
新しい治療薬開発のために低分子シャペロン化合物を酵素欠損モデル動物への経口投与を行い、臨床的な予防効果を示唆する結果が得られた。このアプローチは新しい発想に基づき国内ではじめられた独創的研究で、脳の遺伝病の新しい治療法となる可能性がある。ゴーシェ病に対する高価なオーファンドラッグによる酵素補充療法でも脳障害の治療効果は明らかでない。NOVによる治療は一部の患者にでも、その治療費を著しく軽減させることが出来る可能性がある。この治療法が確立されれば、社会的経済的効果はきわめて大きく、その成果は基礎的研究のみならず脳障害児・者の医療・看護・介護にかかる社会的経済的負担を軽減するのに著しく貢献するであろう。
公開日・更新日
公開日
2005-04-28
更新日
-