慢性頭痛の診療ガイドライン作成に関する研究

文献情報

文献番号
200400740A
報告書区分
総括
研究課題名
慢性頭痛の診療ガイドライン作成に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
坂井 文彦(北里大学医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 福内 靖男(足利赤十字病院)
  • 岩田 誠(東京女子医科大学脳神経センター)
  • 中島 健二(鳥取大学医学部附属脳幹性疾患研究施設)
  • 平田 幸一(獨協医科大学)
  • 辻 省次(東京大学医学部附属病院)
  • 吉良 潤一(九州大学大学院医学研究院)
  • 小川 彰(岩手医科大学)
  • 花輪 壽彦(北里研究所東洋医学総合研究所)
  • 佐藤 敏彦(北里大学医学部)
  • 鈴木 則宏(慶應義塾大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
28,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成16年度の研究目的は、EBMに基づく日本人のための慢性頭痛診療ガイドラインを作成し、頭痛診療の効率化と研究を促進させることにある。従来の治療エビデンスは主として海外の臨床治験の結果に基づいたものであり、本邦のエビデンスは少ない。慢性頭痛の診断治療をより科学的根拠に基づくものとするため、本研究では医療現場での実態をより精細に把握するとともに、治療法の客観的評価を行う。
研究方法
これまで、頭痛診療ガイドライン作成のために新たにエビデンスの収集、整理を開始を行い、ガイドラインの中核となる治療薬の効果の評価を行った。第3年度(最終年度)には、2年間の研究の成果をさらに発展させ、慢性頭痛診療ガイドラインを完成させる。ガイドラインは専門医、一般医、国民が正しい意思決定ができるよう、科学的根拠を明示する。そのため、国内外の文献収集と要約のアップデートを行う。本研究班による治療法の治験と評価をすすめ、新しいエビデンスをガイドラインに追加する。
結果と考察
今年度の研究成果としては、診断と治療のガイドライン完成のため、国内外文献とアブストラクトテーブルを収集・アップデートすると共に、本研究班で得たエビデンスを追加した。作成されたガイドラインは、クリニカルクエスチョンを頭痛一般、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛、その他の一次性頭痛、その他に分類した。それぞれのクリニカルクエスチョンに対し、推奨(グレード)、背景・目的、解説・エビデンスを整理して記述した。ガイドライン本体は別本として作成する。ガイドラインの作成過程で国内のエビデンスを得ることが出来た。ガイドライン作成前に、分担者の共同作業で抽出された臨床的疑問 Clinical Question につき検討した。その解決の参考となる資料を収集し、より効率的で適切な診療ガイドライン作成の補助とした。
臨床的エビデンスとしては、漢方医学の特質を考慮した臨床研究デザインによる治験の結果、呉茱萸湯は慢性頭痛の頭痛発作予防薬として有用と考えられた。緊張型頭痛の治療法としては、消炎鎮痛薬にベンゾジアゼピン系抗不安薬の重畳効果が有効であることが確認された。
結論
本研究は医師及び、国民の為の慢性頭痛診療ガイドライン作成という成果を得ると共に、新しい頭痛診断と治療に必要な疾患概念設立のための研究に展望を開く。

公開日・更新日

公開日
2005-04-28
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-02-20
更新日
-

文献情報

文献番号
200400740B
報告書区分
総合
研究課題名
慢性頭痛の診療ガイドライン作成に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
坂井 文彦(北里大学医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 福内 靖男(足利赤十字病院)
  • 岩田 誠(東京女子医科大学脳神経センター)
  • 中島 健二(鳥取大学医学部附属脳幹性疾患研究施設)
  • 平田 幸一(獨協医科大学)
  • 辻 省次(東京大学医学部附属病院)
  • 吉良 潤一(九州大学大学院医学研究院)
  • 小川 彰(岩手医科大学)
  • 花輪 壽彦(北里研究所東洋医学総合研究所)
  • 佐藤 敏彦(北里大学医学部)
  • 鈴木 則宏(慶應義塾大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
慢性頭痛(一次性頭痛:新国際分類による)、とくに片頭痛は有病率、支障度とも高く、多くの国民が頭痛の為に日常生活に犠牲を強いられている。本研究の目的は、慢性頭痛の最適な医療推進のため、EBMに基づく診療ガイドラインを作成することである。ガイドライン作成にあたり、臨床現場で何が問われているかについてのクリニカルクエスチョン(CQ)の調査を充分に行い、本邦でエビデンスの少ない治療法には良質で中規模の臨床試験を行うことも本研究の目的とした。
研究方法
ガイドラインで推奨の対象とするCQの抽出に当たり、①一次性頭痛の分類と診断基準は、国際頭痛分類改訂版を日本語に全訳する、②CQ作成に当たっては、過去のいくつかのガイドラインを参考にするのみでなく、実際のCQ抽出のために実態調査を、患者、プライマリーケア医、専門医を対象に行う、③ガイドライン作成のために、文献的に国内外のエビデンス収集と共に研究班員による臨床試験、病態研究を行う。
結果と考察
EBMに基づいた慢性頭痛の診療ガイドラインが作成された。対象は臨床医全般で、とくにプライマリーケア医に使用しやすい配慮がされた。患者向けガイドラインも日本頭痛学会と共同で作成中である。ガイドラインが推奨する項目は一次性頭痛全般につき診断、治療、予防法を網羅した。国際頭痛分類・診断基準改訂版の全訳と診断アシストパッケージ(頭痛日記、問診票、診断アルゴリズム票)の作成により、一次性頭痛の標準的診断法が可能となった。さらに、病診連携、職場や学校での頭痛医療、小児の頭痛の対策、入院治療の必要な慢性頭痛の識別、慢性頭痛による生活支障度の評価などが明らかにされた。国内で充分ではなかった頭痛治療のEBMとして①片頭痛急性期治療薬の日本人に対する至適使用法、②片頭痛予防薬としての漢方薬の効果、③ボツリヌストキシンの日本人片頭痛患者への効果、④緊張型頭痛に対する治療薬の効果などが比較試験で確認された。
結論
本研究により慢性頭痛の診断、治療に関するエビデンスが集大成され、日本人に適した診療プロセスのためのガイドラインが作成された。慢性頭痛の最適な医療が推進されると共に、国民は頭痛全般についての情報を開示され、適切な治療を選択することにより仕事、家事、育児の生産性を向上させることが出来る。

公開日・更新日

公開日
2005-04-28
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-02-20
更新日
-