文献情報
文献番号
200400735A
報告書区分
総括
研究課題名
気分障害の高精度候補領域解析 および精神疾患ゲノムバンクの構築
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
吉川 武男(独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター分子精神科学研究チーム)
研究分担者(所属機関)
- 岡崎 祐士(三重大学 医学部)
- 尾崎 紀夫(名古屋大学 医学部)
- 加藤 忠史(独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター精神疾患動態研究チーム)
- 稲田 俊也(名古屋大学 医学部)
- 南光 進一郎(帝京大学 医学部)
- 功刀 浩(国立精神・神経センター 神経研究所 疾病研究第3部)
- 三辺 義雄(浜松医科大学)
- 西川 徹(東京医科歯科大学 医学部)
- 三國 雅彦(群馬大学 医学部)
- 塩江 邦彦(山梨大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
28,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
気分障害の遺伝的基盤を明らかにしていく研究は、原因究明-それに基づく医療・福祉的援助の考案にとって必要不可欠である。本研究では、「気分障害の高精度候補遺伝子・候補領域解析」のアプローチをとることによって、多くの偽陽性および偽陰性の両方を排除し、真の感受性遺伝子群を明らかにし、診断・創薬・予防の根本的方策につながることを目的とする。また、収集するサンプルの末梢血リンパ球を株化し、「精神疾患ゲノムバンク」の構築を目指す。
研究方法
我々は、以下の4項目を研究の基軸に据えて研究目標にアプローチしている。
(1) 解析対象の表現型を絞り遺伝的異質性を改善する
(2) 解析対象サンプル数をなるべく多くする
(3) ゲノム上の候補遺伝子、候補領域に対して連鎖不平衡を考慮した十分な密度のタイピング、ハプロタイプの構築など精緻な遺伝解析を行う
(4) 集団遺伝的な解析で確かな証拠が得られた遺伝子多型については機能的な裏付けを調べる。
(1) 解析対象の表現型を絞り遺伝的異質性を改善する
(2) 解析対象サンプル数をなるべく多くする
(3) ゲノム上の候補遺伝子、候補領域に対して連鎖不平衡を考慮した十分な密度のタイピング、ハプロタイプの構築など精緻な遺伝解析を行う
(4) 集団遺伝的な解析で確かな証拠が得られた遺伝子多型については機能的な裏付けを調べる。
結果と考察
(1)全国ネットワークによる双極性障害サンプル収集:今年度までに合計615例の双極性障害サンプルを収集した。(2)遺伝子解析:今年度、主任研究者の施設ではPMX2B、HASH1、HTR3A, HTR3B遺伝子などを解析した。PMX2BとHASH1はカテコラミン合成酵素の発現やノルアドレナリン神経系の発生に共同で関わる転写因子であるため、カテコラミンの異常があるとされている気分障害、統合失調症、パーキンソン病で関連について調べたが、HASH1の多型とパーキンソン病との間でのみ有意な関連が見られた。HTR3A, 3B遺伝子に関しては、両遺伝子が存在するゲノム領域のハプロタイプブロック構造を日本人と白人で比較することにより、HTR3B遺伝子の重要性が示唆された。各分担研究者らも精力的に候補遺伝子を解析した。(3)ゲノムバンクの構築に関しては、リンパ球の株化作業を継続している。本研究の最終目標は、オールジャパンの総力を結集して双極性障害のサンプルを出来るだけ多く収集し、10万SNPsによる全ゲノム関連スキャンをすることにおいているが、それに向けてDNA収集および実験の準備は着実に進んでいる。
結論
気分障害の感受性遺伝子の同定に向けて、質の高い遺伝解析を実現すべく組織した共同研究体制は、平成15年度と同様その成果を着実に積み上げている。
公開日・更新日
公開日
2005-04-28
更新日
-