ヒト睡眠・覚醒リズム障害の分子生物学的成因解明とテーラーメイド治療法開発に関する基盤的研究

文献情報

文献番号
200400733A
報告書区分
総括
研究課題名
ヒト睡眠・覚醒リズム障害の分子生物学的成因解明とテーラーメイド治療法開発に関する基盤的研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
内山 真(厚生労働省国立精神・神経センター精神保健研究所精神生理部)
研究分担者(所属機関)
  • 岡村 均(神戸大学大学院医学系研究科分子脳科学分野)
  • 海老澤 尚(東京大学大学院医学系研究科睡眠障害解析学)
  • 尾崎紀夫(名古屋大学大学院医学研究科精神医学分野)
  • 三島和夫(秋田大学医学部精神科学教室)
  • 角谷 寛(京都大学大学院先端領域融合医学)
  • 尾関祐二(滋賀医科大学精神医学講座)
  • 田ヶ谷浩邦(国立精神・神経センター精神生理部)
  • 亀井雄一(国立精神・神経センター国府台病院精神科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
47,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
生体リズム障害の頻度は高く、適切な治療が行われないと難治性の睡眠障害を引き起こす。生体リズムの障害は二次的に内分泌異常、免疫機能異常などの様々な身体機能に影響を与え生活習慣病の悪化要因となり、精神科的には神経症、うつ病の原因となる。さらに、学業や就労にも大きな障害をきたし、産業事故の原因となる。本研究では、ヒトにおける睡眠・覚醒リズム障害の分子生物学的成因および朝型・夜型の時間特性の生理学的基盤を解明し、遺伝素因の多様性に応じたテーラーメイド治療法を開発することである。
研究方法
広い年代層の健常人および多様な睡眠・覚醒リズム障害患者における朝型・夜型特性、睡眠習慣の特徴、社会生活におけるリズム特性、社会機能水準、精神科的症状を標準化されたフォーマットを用いて調べるとともに、睡眠・覚醒リズム障害の発症との関与が強く示唆される時計遺伝子を分子生物学的に解析し、ヒトの時間特性および睡眠・覚醒リズムの破綻に関与する分子生物学的マーカー遺伝子を明らかにする。
結果と考察
ヒトを対象とするできうる限り侵襲の少ない生物時計と睡眠覚醒リズムの位相測定法を確立し、睡眠・覚醒リズム障害患者および健常成人に適用した。睡眠・覚醒リズム障害患者および健常成人の時計遺伝子を広範に多型解析し、睡眠・覚醒リズム障害発症を促進する遺伝子ミスセンス多型(hPer3、Mel1aなど)、抑制する遺伝子ミスセンス多型について検討した。強い朝方指向性を遺伝的に引き継いでいる家系を抽出し表現型(睡眠覚醒特性)を評価するとともに、その遺伝的特徴を明らかにするための系統的な家族調査を進めた。生体リズム異常がその病態生理に関与していると考えられている精神障害に関して時計遺伝子のミスセンス解析を開始した。ヒトの睡眠・覚醒リズム障害に関して、縦断研究を可能にする地域コホート作成を行った。睡眠・覚醒リズム障害患者の内因性リズムを抹消組織を用いて検討する手法の開発を行った。
結論
本年度は3年研究計画の2年度であるが、ヒト生体リズム異常の研究に必要ないくつかの方法論開発と臨床応用に関する研究を行った。各分担研究者とも当初の研究計画をクリアーできたものと考える。これらの研究知見を用いて、多施設共同研究、各個別研究を推進している。

公開日・更新日

公開日
2005-04-21
更新日
-