自殺多発地域における中高年の自殺予防を目的とした地域と 医療機関の連携による大規模介入研究

文献情報

文献番号
200400729A
報告書区分
総括
研究課題名
自殺多発地域における中高年の自殺予防を目的とした地域と 医療機関の連携による大規模介入研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
酒井 明夫(岩手医科大学医学部神経精神科学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 鈴木 一幸(岩手医科大学医学部第一内科学講座)
  • 大野 裕(慶應義塾大学保健管理センター)
  • 岡山 明(国立循環器病センター予防検診部)
  • 遠藤 重厚(岩手医科大学医学部救急医学講座)
  • 青木 康博(岩手医科大学医学部法医学講座)
  • 西 信雄((財)放射線影響研究所疫学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
14,250,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は久慈地域を対象として、隣接した宮古地域を対照とした地域介入研究である。久慈地域で医療と行政との連携による自殺予防活動を行い、地域介入の前後に実施した地域住民・医療従事者を対象とした意識調査を相互に比較することで介入活動の効果を明らかにすることを目的とした。
研究方法
一次予防としては、地域住民への啓発活動として「北リアス健康塾」を行った。医療従事者への啓発活動として、町立種市病院で院内研修会を行った。二次予防としては、久慈地域のモデル地区でのスクリーニング事業に協力した。三次予防としては、岩手県立久慈病院おけるリエゾンナース事業を継続した。そして、介入効果を明らかにするために地域住民・医療従事者に対する意識調査を行った。
結果と考察
「北リアス健康塾」では、「気分が落ち込んだら精神科を受診してみようと思う」と回答した割合は講演前の44.2%から講演後は95.2%へと上昇した。地域基幹関病院における院内研修会では、「うつ病は薬で治すことが出来る」と回答した割合は研修前63.0%から研修後97.3%に上昇した。スクリーニング事業では、モデル地区での一次スクリーニング陽性率は39.6%、二次スクリーニング陽性率は24.0%であった。リエゾンナース事業では、1年間の相談者は122名で、「1年間で院内精神医療が充実したと思う」と回答した院内職員の割合は医師が42.9%、看護師が34.3%であった。地域住民に対する調査では、「うつ状態は薬でなおすことが出来る」と回答した割合は、平成14年度は久慈地域が21%、宮古地域は22%で両地域の有意差は認めなかった。平成16年度では、久慈地域が33%、宮古地域が26%で久慈地域は有意に割合が多かった(P<0.001)。また、介入地区・対照地区の医療従事者に対する意識調査では、「うつ状態は薬でなおすことが出来る」と回答した割合は、平成14年度は久慈地域が34%、宮古地域は38%で両地域の有意差は認めなかった。平成16年度では、久慈地域が57%、宮古地域が42%で久慈地域は有意に割合が多かった(P=0.002)。
結論
本研究では、大規模介入研究により地域全体としての自殺防止対策事業の介入効果の有効性に関して、対照地域を設定することで明らかにできた。本研究において、医療と地域との連携による自殺予防の介入活動の方法論の有用性が確立されたと考えられ、今後は他地域への方法論の応用が期待される。

公開日・更新日

公開日
2005-04-28
更新日
-

文献情報

文献番号
200400729B
報告書区分
総合
研究課題名
自殺多発地域における中高年の自殺予防を目的とした地域と 医療機関の連携による大規模介入研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
酒井 明夫(岩手医科大学医学部神経精神科学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 鈴木 一幸(岩手医科大学医学部第一内科学講座)
  • 大野 裕(慶應義塾大学保健管理センター)
  • 岡山 明(国立循環器病センター予防検診部)
  • 遠藤 重厚(岩手医科大学医学部救急医学講座)
  • 青木 康博(岩手医科大学医学部法医学講座)
  • 西 信雄((財)放射線影響研究所疫学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 こころの健康科学研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は久慈地域を対象として医療と行政との連携による自殺予防活動を行い、隣接した宮古地域を対照とした地域介入研究である。
研究方法
一次予防として、地域住民と医療従事者へ啓発活動を行った。二次予防として、久慈地域のモデル地区でのスクリーニング事業に協力した。三次予防として、岩手県立久慈病院おけるリエゾンナース事業を継続した。また、地域の自殺予防ネットワークへ協力した。計画研究として自殺未遂者調査および自殺既遂者調査を行った。そして、介入効果を明らかにする為に介入の前後で地域住民・医療従事者に対して意識調査を行った。
結果と考察
地域住民の啓発活動(北リアス健康塾)で、「気分が落ち込んだら精神科を受診してみようと思う」と回答した割合は講演前の44.2%から講演後は95.2%へと上昇した。地域基幹病院における院内研修会では、「うつ病は薬で治すことが出来る」と回答した割合は研修前63.0%から研修後97.3%に上昇した。スクリーニング事業では、モデル地区での一次スクリーニング陽性率は39.6%、二次スクリーニング陽性率は24.0%であった。リエゾンナース事業では、1年間の相談者は122名で、「1年間で院内精神医療が充実したと思う」と回答した院内職員の割合は医師が42.9%、看護師が34.3%であった。地域住民に対する調査では、「うつ状態は薬でなおすことが出来る」と回答した割合は、平成14年度は久慈地域が21%、宮古地域は22%で両地域の有意差は認めなかった。平成16年度では、久慈地域が33%、宮古地域が26%で久慈地域は有意に割合が多かった(P<0.001)。また、介入地区・対照地区の医療従事者に対する意識調査では、「うつ状態は薬でなおすことが出来る」と回答した割合は、平成14年度は久慈地域が34%、宮古地域は38%で両地域の有意差は認めなかった。平成16年度では、久慈地域が57%、宮古地域が42%で久慈地域は有意に割合が多かった(P=0.002)。
結論
本研究では、大規模介入研究により地域全体としての自殺防止対策事業の介入効果の有効性に関して、対照地域を設定することで明らかにできた。本研究において、医療と地域との連携による自殺予防の介入活動の方法論の有用性が確立されたと考えられ、今後は他地域への方法論の応用が期待される。

公開日・更新日

公開日
2005-04-28
更新日
-