免疫疾患に対する免疫抑制療法等先端的新規治療法に関する研究

文献情報

文献番号
200400724A
報告書区分
総括
研究課題名
免疫疾患に対する免疫抑制療法等先端的新規治療法に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
山本 一彦(東京大学大学院医学系研究科内科学専攻アレルギーリウマチ学)
研究分担者(所属機関)
  • 小池 隆夫(北海道大学大学院医学研究科病態内科学講座)
  • 住田 孝之(筑波大学大学院人間総合科学研究科臨床免疫学)
  • 山村 隆(国立精神・神経センター神経研究所疾患研究第六部)
  • 上阪 等(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科膠原病・リウマチ内科)
  • 坂口 志文(京都大学再生医科学研究所生体機能調節学分野)
  • 田中 良哉(産業医科大学医学部第一内科学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
36,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
全身性自己免疫疾患を中心とした免疫難病についての現在の治療法は、副腎ステロイドや免疫抑制薬が中心であり、一定の効果はあるものの、免疫系全体に対する抑制作用などの副作用が患者にとって不利に働くことが少なくない。したがって、より選択的、特異的で副作用の少ない治療法を開発することは緊急の課題となっている。そこで、本研究は、我が国で確立されつつあるオリジナルな概念を中心に、近未来的に実際の患者に応用可能な先端的新規治療法について、ヒト及びモデル動物での治療法を確立する事を目的とした。
研究方法
倫理面への配慮では、動物モデルでの研究は指針に従った。ヒトの培養細胞を用いた研究はインフォームドコンセントを取得した後に行った。患者への治療に関しては各施設の倫理委員会の承認を得た。
結果と考察
山本はコラーゲン誘導関節炎の病変局所に集積しているT細胞のT細胞レセプターを解析した。さらに、CD4陽性T細胞をシングルセルソーティングを行うことで、1つの細胞から2つのT細胞レセプター遺伝子をクローニングすることに成功した。これを用いて関節炎を制御するT細胞を作成した。坂口はFoxp3遺伝子がCD25陽性CD4陽性制御性T細胞の発生、分化を司るマスター遺伝子であることを見いだし、Foxp3遺伝子導入により、ヒトにおいても制御性T細胞を作成出来ることを示した。山村はNKT細胞を刺激する変異ペプチドOCHについて、ヒトのNKT細胞に対する影響を調べたところ、マウスと同様にTh1/Th2バランスをTh2に偏向させる能力があることを示した。住田は、アナログペプチドを作成しT細胞株の反応を検討した。上阪は増殖の速いCD8陽性T細胞において、JAK1, JAK3およびその下流のSTAT5、ERKおよびAktのリン酸化がより強く認められることを示した。小池は強皮症患者に対する骨髄移植による治療を推進した。田中はCD20抗体を用いた重症SLE患者5例のパイロットスタディを行った。
結論
欧米では、免疫疾患に対する種々の治療法の開発が進められている。今後は我が国でも近未来的に応用可能なことを目指して、各段階での実際的な問題点を明らかにして、各プロジェクトがスムーズに開発に向けられるようにする必要があると思われる。

公開日・更新日

公開日
2005-05-13
更新日
-

文献情報

文献番号
200400724B
報告書区分
総合
研究課題名
免疫疾患に対する免疫抑制療法等先端的新規治療法に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
山本 一彦(東京大学大学院医学系研究科内科学専攻アレルギーリウマチ学)
研究分担者(所属機関)
  • 小池 隆夫(北海道大学大学院医学研究科病態内科学講座)
  • 住田 孝之(筑波大学大学院人間総合科学研究科臨床免疫学)
  • 山村 隆(国立精神・神経センター神経研究所疾病研究第六部)
  • 上阪 等(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科膠原病・リウマチ内科学)
  • 坂口 志文(京都大学再生医科学研究所生体機能調節学分野)
  • 田中 良哉(産業医科大学医学部第一内科学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
全身性自己免疫疾患を中心とした免疫難病についての現在の治療法は、副腎ステロイドや免疫抑制薬が中心であり、一定の効果はあるものの、免疫系全体に対する抑制作用などの副作用が患者にとって不利に働くことが少なくない。したがって、より選択的、特異的で副作用の少ない治療法を開発することは緊急の課題となっている。そこで、本研究は、我が国で確立されつつあるオリジナルな概念を中心に、近未来的に実際の患者に応用可能な先端的新規治療法について、ヒト及びモデル動物での治療法を確立する事を目的とした。
研究方法
倫理面での配慮では、動物モデルでの研究は指針に従った。ヒトの培養細胞を用いた研究はインフォームドコンセントを取得した後に行った。患者への治療に関しては各施設の倫理委員会の承認を得た。
結果と考察
山本はコラーゲン誘導関節炎の病変局所に集積しているT細胞のT細胞レセプターを解析した。さらに、1つの細胞から2つのT細胞レセプター遺伝子をクローニングすることに成功し、これを用いて関節炎を制御するT細胞を作成した。坂口はFoxp3遺伝子がCD25陽性CD4陽性制御性T細胞の発生、分化を司るマスター遺伝子であることを見いだし、Foxp3遺伝子導入により、ヒトにおいても制御性T細胞を作成出来ることを示した。山村はNKT細胞を刺激する変異ペプチドOCHについて、ヒトのNKT細胞に対する影響を調べたところ、マウスと同様にTh1/Th2バランスをTh2に偏向させる能力があることを示した。住田は、アナログペプチドを作成しT細胞株の反応を検討した。上阪は増殖の速いCD8陽性T細胞とCD4陽性T細胞を比較し、JAK1, JAK3およびその下流のSTAT5、ERKおよびAktのリン酸化がより強く認められることを示した。小池は、強皮症患者への自己骨髄幹細胞移植の治療を継続し、皮膚の軟化など臨床的な改善をみた。田中はCD20抗体を用いた重症SLE患者5例のパイロットスタディを行った。
結論
欧米では、多くの分野の技術・資源を動員して、免疫疾患に対する種々の治療法の開発が進められている。今後は我が国でも近未来的に応用可能なことを目指して、各段階での実際的な問題点を明らかにして、各プロジェクトがスムーズに開発に向けられるようにする必要があると思われる。

公開日・更新日

公開日
2005-05-13
更新日
-