関節リウマチの先端的治療に関する研究

文献情報

文献番号
200400718A
報告書区分
総括
研究課題名
関節リウマチの先端的治療に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
西岡 久寿樹(聖マリアンナ医科大学難病治療研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 岩倉 洋一郎(東京大学医科学研究所 ヒト疾患モデル研究センター)
  • 尾崎 承一(聖マリアンナ医科大学 リウマチ・膠原病・アレルギー内科)
  • 高柳  広(東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科)
  • 妻木 範行(大阪大学大学院医学系研究科 器官制御外科学)
  • 田中  栄(東京大学大学院医学系研究科 感覚・運動機能医学)
  • 千葉 一裕(慶應義塾大学医学部 整形外科学)
  • 中島 利博(聖マリアンナ医科大学 難病治療研究センター)
  • 吉田 勝美(聖マリアンナ医科大学 予防医学)
  • 青葉 安里(聖マリアンナ医科大学 神経精神科学)
  • 新井 平伊(順天堂大学医学部 精神医学)
  • 植田 弘師(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 薬学系)
  • 浦野 房三(長野県厚生連篠ノ井総合病院 リウマチ膠原病センター)
  • 福田 国彦(東京慈恵会医科大学 放射線医学)
  • 松本 美富士(山梨県立看護大学短期大学部 人間・健康科学)
  • 宮崎 東洋(順天堂大学医学部 ペインクリニック)
  • 村上 正人(日本大学医学部 内科学教室)
  • 行岡 正雄(医療法人行岡医学研究会 行岡病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
81,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
関節リウマチを代表とする骨・関節疾患の病因・病態、特に症状の進展プロセスの解明とその制御(治療)の解明は、疾病の長期化、Q.O.L.に与える著しい損失を考えると緊急の課題である。このような背景に基づき新規治療の標的分子を探索し、創薬研究を展開することを目的とした。
研究方法
①滑膜細胞の分子制御とくにAPO-1IgM抗体、シノビオリンによる分子制御のメカニズムについて。
②骨・軟骨破壊制御進展に対する標的分子の検索。
③疾病負担と医療費の費用対効果のバランスに関するマクロ経済予測モデルを用いた適正な医療費の検討。
④慢性疼痛を主症状とする線維筋痛症の病態の解析を通して、慢性疼痛の誘導分子の探索。
結果と考察
代表的な成果は、APO-1gM抗体やシノビオリン分子の臨床開発を現在、ベンチャー企業を参入させ、促進している。本研究班での基礎的研究の一部が遂行された事の意義は、研究の社会還元という視点からも大きい。
一方、多くの新規抗リウマチ剤の適正使用を提唱し、有用性の事前評価のマクロ経済的な医療経済の視点よりの薬価体系と、企業側が安定して供給する体制も考慮に入れて医薬品供給システムの安定化も重要であることが本研究を通じて明らかにされた。
以上のように、関節リウマチ完全解明導入を目指した包括的、かつ総合的な研究班であり、この3年間に提案してきた解決すべき問題点が改めて浮上した。
線維筋痛症の研究班は1年間で、本邦のこれらの実態調査から欧米と比較して、ほぼ同数の患者がいることが判明した。
結論
1.関節リウマチを軸とした運動器疾患の病因・病態に関与するゲノム、ペプチドタンパクを網羅的に解析する方法を確立し、その全容の一部が解明され、これらの成果は直ちに創薬研究へ移行させた。その代表的なものが、シノビオリンやアポトーシス誘導剤である。
2.一方、新規抗リウマチ剤の適正使用のために、疾病負担を客観的に評価し、開発コスト、保険医療費等と、Q.O.L.の向上に対して費用対効果の解析に研究を重ねてきた。国際的に用いられている抗リウマチ剤を対象に行った成果では、著名な疾病負担抑制効果が認められた。
また、本研究班の分科会として新たにスタートした、激しい疼痛を主症状とする原因不明の難治性疾患である線維筋痛症の病因・病態を通じてリウマチ性疾患共通の分子機構の解明を行った。

公開日・更新日

公開日
2005-06-06
更新日
-

文献情報

文献番号
200400718B
報告書区分
総合
研究課題名
関節リウマチの先端的治療に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
西岡 久寿樹(聖マリアンナ医科大学難病治療研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 岩倉 洋一郎(東京大学医科学研究所ヒト疾患モデル研究センター)
  • 尾崎 承一(聖マリアンナ医科大学リウマチ・膠原病アレルギー内科)
  • 高柳 広(東京医科歯科大学医歯学総合研究科分子細胞機能学)
  • 妻木 範行(大阪大学大学院医学系研究科器官制御外科学)
  • 戸山 芳昭(慶応義塾大学医学部整形外科学教室)
  • 中島 利博(聖マリアンナ医科大学難病治療研究センター)
  • 開 祐司(京都大学再生医科学研究所)
  • 千葉 一裕(慶應義塾大学医学部整形外科学教室)
  • 半田 宏(東京工業大学大学院生命理工学研究科)
  • 吉田 勝美(聖マリアンナ医科大学予防医学教室)
  • 青葉 安里(聖マリアンナ医科大学神経精神科学)
  • 井上 和彦(東京女子医科大学附属第二病院)
  • 浦野 房三(厚生連篠ノ井総合病院リウマチ膠原病センターリウマチ科)
  • 西海 正彦(国立病院東京医療センター内科)
  • 松本 美富士(山梨県立看護大学短期大学部内科(リウマチ学))
  • 宮崎 東洋(順天堂大学医学部麻酔科学・ペインクリニック)
  • 村上 正人(日本大学医学部内科学・心療内科学)
  • 行岡 正雄(行岡医学研究会行岡病院)
  • 田中 栄(東京大学大学院医学系研究科感覚・運動機能医学)
  • 千葉 一裕(慶応義塾大学医学部整形外科)
  • 新井 平伊(順天堂大学医学部精神医学)
  • 植田 弘師(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科薬学系分子薬理学分野)
  • 福田 国彦(東京慈恵会医科大学放射線医学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
人口の高年齢化と共に、日常生活機能に直接的に重大な影響を及ぼすと考えられる関節リウマチ等骨・関節疾患は、今後増加の一途にあると考えられる。我々は、本邦における同疾患の推定患者数は、現時点で1200万としている。
こういったリウマチ性疾患を克服するために、第一にその病変の主座である関節を構築する細胞群をゲノム、プロテオームレベルでの網羅的解析を行った。また、医療経済的な面からその疾病負担による治療薬の研究開発とその適応によって得られる効果に重点をおいて研究を行った。
研究方法
1.運動器を構築する滑膜・破骨・軟骨細胞分化、脱分化の分子及び遺伝子群の解明。発生工学的手法による関節リウマチの治療薬の開発。
2.滑膜、軟骨及び骨破壊の遺伝子分子機構を網羅的に解析するプロテオーム並びにゲノム研究グループによる変性軟骨の修復について動物モデルを用いて解明を行った。
3.リウマチ性疾患による骨・関節破壊の障害を生活機能障害の視点より位置づけ、高いQ.O.L.の獲得を目指した治療戦略の作成。特に滑膜細胞アポトーシス誘導剤の開発。
4.生物学的製剤以外の低分子化合物(TNFα阻害剤)開発のための基礎的研究。
5.線維筋痛症の痛みの分子機構の解明。
以上の5重点課題に対して研究を展開した。
結果と考察
1.シノビオリン分子が新規リウマチ剤の標的分子となり得ることが、本研究班の研究プロジェクトでも明らかにされた。
2.APO-1 IgM抗体の滑膜細胞ドミノ式apoptosis誘導作用が明らかにされた。
3.骨・軟骨破壊予防及び、進展防止に関する研究ではMMP-13ノックアウトマウスの解析からMMP-13が骨・軟骨破壊の足場を作り、軟骨組織の破壊を誘導することが明らかにされ、治療の標的分子となることも明らかにされた。
4.新規抗リウマチ剤であるレフルノミド、インフリキシマブを医療経済の観点から見ても、妥当であると考えられた。
5.線維筋痛症モデルとした慢性疼痛発症機序研究では新しい動物モデルによりLPA-LPA受容体の関与などが解明された。
結論
過去3年間にわたり
1.増殖滑膜細胞のアポトーシス導入剤の基礎的臨床開発へ向けた研究。
2.骨・関節破壊の予防または制圧に関与する標的分子探索。
3.新規導入抗リウマチ剤(生物学的製剤も含む)の適正使用。
4.マクロ経済からみた抗リウマチ剤の適正な価格体系。
で一定の結論を得た。

公開日・更新日

公開日
2005-06-06
更新日
-