アレルギー疾患の発症及び悪化に影響する因子の解析

文献情報

文献番号
200400714A
報告書区分
総括
研究課題名
アレルギー疾患の発症及び悪化に影響する因子の解析
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
大田 健(帝京大学医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 平井 浩一(東京大学医学部)
  • 西村 正治(北海道大学医学部)
  • 棟方 充(福島県立医科大学呼吸器科)
  • 塩原 哲夫(杏林大学医学部)
  • 庄司 俊輔(国立病院機構福岡病院)
  • 小林 信之(国立国際医療センター呼吸器科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
21,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
アレルギーの原因遺伝子に関する研究は、広く莫大な予算の元になされてきたがまだ原因遺伝子として広く認められたものは少ない。アレルギー性疾患が多因子疾患であることより、その研究をより困難なものとしている。本研究は喘息・アトピー性皮膚炎の発症および悪化に影響を及ぼす因子を明らかにすることにより、これらの発症、増悪を予測し、最終的に有効な治療戦略の開発につなげることを目的とした。
研究方法
三省合同「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」に沿い、各施設で共通のフォーマットで倫理委員会に提出し、承認を得た。検体は各施設と帝京大学でニ重に匿名化した。対象は1.アトピー型喘息症例 2.非アトピー型喘息症例 3.アトピー性皮膚炎症例 4.喘息アトピー性皮膚炎合併例 5.健常人の五群を収集した。各群の患者について病歴、治療歴、検査所見を統一したフォーマットに入力した。背景として、総IgE、IgE RAST(吸入系:ハウスダスト、ダニ、ブタクサ、ネコ毛)、好酸球数を検討した。喘息については呼吸機能検査、気道過敏性のデータを採取した。
結果と考察
AA 413例、NA 148例、AD 174例、AAD 95例、NC 242例のDNAおよび血漿の収集を終了した。群間に年齢の有意差を生じたが、結果に大きな影響を及ぼすものではないと判断した。予想どおり単一の遺伝子多型で発症を規定できる因子は存在しなかった。遺伝子多型と表現型の分析から、MIF、EGFR、TGF-β、FcεRIβとPAI1、IL-13、IL-18、UGRP1が発症に影響する因子となり、TARC、MDC、TGF-β、IL-18が悪化に関連する因子であることが判明した。
結論
アレルギー疾患は多因子疾患であり、その病態も様々である。我々研究班は、統合を意識し、いままで個別にやってきた研究のフォーマットを統一した。その結果、同一の検体を共有して多因子を検討することが可能となり、発症と悪化に関連する複数の因子を明らかにした。すなわち、MIF、EGFR、TGF-β、FcεRIβとPAI1、IL-13、IL-18、UGRP1が発症に影響する因子となり、TARC、MDC、TGF-β、IL-18が悪化に関連する因子であることが判明した。このような試みによる成果は国際的にも未だみられず、今後、本研究を土台にして、更に重要な知見が得られることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2005-06-08
更新日
-

文献情報

文献番号
200400714B
報告書区分
総合
研究課題名
アレルギー疾患の発症及び悪化に影響する因子の解析
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
大田 健(帝京大学医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 平井 浩一(東京大学医学部)
  • 西村 正治(北海道大学医学部)
  • 棟方 充(福島県立医科大学呼吸器科)
  • 塩原 哲夫(杏林大学医学部)
  • 庄司 俊輔(国立病院機構福岡病院)
  • 小林 信之(国立国際医療センター呼吸器科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
アレルギーの原因遺伝子に関する研究は、広く莫大な予算の元になされてきたがまだ原因遺伝子として広く認められたものは少ない。アレルギー性疾患が多因子疾患であることより、その研究をより困難なものとしている。本研究は喘息・アトピー性皮膚炎の発症および悪化に影響を及ぼす因子を明らかにすることにより、これらの発症、増悪を予測し、最終的に有効な治療戦略の開発につなげることを目的とした。
研究方法
三省合同「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」に沿い、各施設で共通のフォーマットで倫理委員会に提出し、承認を得た。検体は各施設と帝京大学でニ重に匿名化した。対象は1.アトピー型喘息症例 2.非アトピー型喘息症例 3.アトピー性皮膚炎症例 4.喘息アトピー性皮膚炎合併例 5.健常人の五群を収集した。各群の患者について病歴、治療歴、検査所見を統一したフォーマットに入力した。背景として、総IgE、IgE RAST(吸入系:ハウスダスト、ダニ、ブタクサ、ネコ毛)、好酸球数を検討した。喘息については呼吸機能検査、気道過敏性のデータを採取した。
結果と考察
AA 413例、NA 148例、AD 174例、AAD 95例、NC 242例のDNAおよび血漿の収集を終了した。群間に年齢の有意差を生じたが、結果に大きな影響を及ぼすものではないと判断した。予想どおり単一の遺伝子多型で発症を規定できる因子は存在しなかった。遺伝子多型と表現型の分析から、MIF、EGFR、TGF-β、Fc epsilon RIβとPAI1、IL-13、IL-18、UGRP1が発症に影響する因子となり、TARC、MDC、TGF-β、IL-18が悪化に関連する因子であることが判明した。
結論
アレルギー疾患は多因子疾患であり、その病態も様々である。我々研究班は、統合を意識し、いままで個別にやってきた研究のフォーマットを統一した。その結果、同一の検体を共有して多因子を検討することが可能となり、発症と悪化に関連する複数の因子を明らかにした。すなわち、MIF、EGFR、TGF-β、Fc epsilon RIβとPAI1、IL-13、IL-18、UGRP1が発症に影響する因子となり、TARC、MDC、TGF-β、IL-18が悪化に関連する因子であることが判明した。このような試みによる成果は国際的にも未だみられず、今後、本研究を土台にして、更に重要な知見が得られることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2005-06-20
更新日
-