文献情報
文献番号
200400707A
報告書区分
総括
研究課題名
花粉症のQOLからみた各種治療法評価と新しい治療法開発の基礎的研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
大久保 公裕(日本医科大学(耳鼻咽喉科))
研究分担者(所属機関)
- 岡本美孝(千葉大学大学院医学研究院(耳鼻咽喉科頭頸部腫瘍科))
- 岡野光博(岡山大学大学院医歯学総合研究科(耳鼻咽喉・頭頸部外科))
- 後藤穣(日本医科大学(北総病院耳鼻咽喉科))
- 寺田修久(千葉大学大学院医学研究院(耳鼻咽喉科頭頸部腫瘍科))
- 増山敬祐(山梨大学大学院医学工学総合研究部(耳鼻咽喉科))
- 吉田博一(獨協医科大学(耳鼻咽喉科気管食道科))
- 藤枝重治(福井大学医学部付属病院(耳鼻咽喉科頭頸部外科))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
45,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
有病率が高く、症状も強いスギ花粉症のQOLの低下と各種の治療による向上を検討する。また花粉症に対する新しい治療法の基礎的な研究を行なう。
研究方法
日本アレルギー性鼻炎標準QOL調査票(JRQLQ)での街頭調査、ロイコトリエン受容体拮抗薬(PL)、第2世代抗ヒスタミン薬(AH)と局所ステロイド薬(TS)併用療法の検討を行った。舌下抗原特異的免疫療法(SIT)の臨床試験を行なった。鼻培養線維芽細胞による好酸球浸潤、T細胞応答の基礎的研究、花粉症の自然史研究を行った。
結果と考察
街頭調査ではJRQLQ領域の日常生活と精神生活が障害され、少量飛散の2004年は20%軽い方へシフトした。PLは日常生活、社会生活、睡眠、身体を改善した。AHとTSはJRQLQ、RQLQ、WPAI-ASはどの領域も改善した。2月3月4月のJRQLQスコアは薬物群が最も悪く12.8、13.8、11.3,で、SIT群が6.3、3.5、3.2、減感作群が4.4、3.7、1.8、レーザー群が2.0、4.5、0.0であり、QOLに対して免疫療法、レーザーの効果が高かった。SITの2重盲検比較試験では中等症以上の日数が少なく、副作用も認められなかった。IL-4刺激による線維芽細胞のeotaxin産生はERKの経路が必要であり、好酸球制御の可能性を見出した。血中総Th2細胞の年間変動はなく、スギ特異的Th2細胞は1月に最低で5月に増加し、免疫療法の効果指標となる可能性を持つ。H4受容体アゴニストはCry j 1特異的T細胞の増殖応答、IL-4産生を抑制した。住民検診のRAST陽性者のスギ花粉症を発症する割合は年々増加し、今後の発症増加を予想させた。予防医学の研究でeotaxin G (123 G/A)のTHR23 allele(123 G/A)を持つ症例では血漿中eotaxin濃度、総IgE値、RASTは低値で発症年齢が遅かった。
結論
花粉症のQOLは花粉飛散量により悪化程度が異なるが、免疫療法などの治療により改善する。ERK、JNKのシグナル伝達が好酸球を、ヒスタミンH4がT細胞をターゲットとした新しい治療法になる可能性が示唆された。今後の患者増加が予想され、予防医学が重要となる。
公開日・更新日
公開日
2005-11-04
更新日
-