文献情報
文献番号
200400704A
報告書区分
総括
研究課題名
重症アトピー性皮膚炎の難治化機序を踏えた治療法の確立に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
西岡 清(東京医科歯科大学大学院 皮膚科学分野)
研究分担者(所属機関)
- 横関 博雄(東京医科歯科大学大学院 皮膚科学分野)
- 烏山 一(東京医科歯科大学大学院 免疫アレルギー学分野)
- 片山 一朗(大阪大学大学院 皮膚科学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
16,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
アトピー性皮膚炎は皮膚バリア機能異常による炎症反応とTh2細胞を介したIgE抗体産生亢進によるアレルギー炎症反応が混在している。IgEによるアレルギー炎症に対する有効な治療法が必要とされている。本研究では、アトピー性皮膚炎の難治化病態の解析を行うと共に、モデルマウスを用いてシグナル伝達分子のおとり核酸(Decoy)による遺伝子治療並びにLipid raftの機能修飾による治療法・治療薬を開発する。
研究方法
①IgE遺伝子導入マウスの皮膚反応で、即時型反応、遅発型反応に続き、アトピー性皮膚炎の遷延化と関連する第3相反応を発見した。種々の抗体で処理した骨髄細胞をマウスに移入して第3相反応の責任細胞を検討した。②IL-4受容体のシグナル伝達分子STAT6 のdecoyを投与してIgE受動感作による遅発型反応、アレルゲン反復投与による炎症反応並びに第3相反応の抑制を試みた。③IgEと抗原のよる樹状細胞のTARC産生に対して、Lipid raft機能を修飾するMethyl-β-cyclodextrinあるいは外来性コレステロール添加し、TARC産生を検討した。
結果と考察
①IgEの第3相反応の責任細胞がDX5+ asialoGM1+ FceRI+抗塩基球あるいは抗塩基球様細胞あること、②STAT6 decoy投与がIgEの即時型反応、遅発型反応を抑制し、第3相反応の約40%強を抑制したこと、③Lipid raftを修飾するMethyl-β-cyclodextrinや外来性コレステロールがTARC産生を抑制し、10%コレステロール軟膏外用がアトピー性皮膚炎に有効であったこと、が明らかになった。特に、第3相反応の一部がSTAT6 decoyの投与で抑制されたことから、第3相反応での好塩基球と肥満細胞との関わりについての検討が必要となった。STAT6 decoyはアレルギー炎症の治療薬の一つとなる可能性が高まり、また、Lipid raft機能を調節する治療薬開発の可能性が出てきた。
結論
IgEの第3相反応の責任細胞を明らかにし、STAT6 decoyがアレルギー炎症の治療薬となりうることが明らかにした。さらに、Lipid raftを修飾する外来性コレステロールが皮膚症状の治療薬となる可能性を示した。
公開日・更新日
公開日
2005-05-12
更新日
-