アトピー性皮膚炎等の有症率調査法の確立および有症率(発症率)低下・症状悪化防止対策における生活環境整備に関する研究

文献情報

文献番号
200400702A
報告書区分
総括
研究課題名
アトピー性皮膚炎等の有症率調査法の確立および有症率(発症率)低下・症状悪化防止対策における生活環境整備に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
河野 陽一(千葉大学大学院医学研究院)
研究分担者(所属機関)
  • 池澤 善郎(横浜市立大学大学院医学研究科環境免疫病態皮膚科学)
  • 佐伯 秀久(国立大学法人東京大学医学部附属病院皮膚科)
  • 占部 和敬(国立大学法人九州大学大学院医学研究院皮膚科学分野)
  • 笠置 文善(財団法人放射線影響研究所疫学部)
  • 森川 昭廣(国立大学法人群馬大学大学院医学系研究科小児生体防御学)
  • 小田嶋 博(独立行政法人国立病院機構福岡病院)
  • 下条 直樹(千葉大学大学院医学研究院小児病態学)
  • 菅野 雅元(国立大学法人広島大学大学院医歯薬学総合研究科免疫学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
26,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1)専門医の健診によるアトピー性皮膚炎の有症率の調査は多くの経費と労力を伴う
ことから、それに替わる方法として「診断のための質問票」による調査法を確立する。2)乳幼児期のアトピー性皮膚炎の経時的追跡調査ならびに皮膚傷害の治療的介入などから、発症および症状悪化に関与する要因を明らかにし、具体的な生活上の防止対策を提供する。
研究方法
1)1歳6か月児、3歳児、小学生を対象として、複数地区において改良「診断のため
の質問票」の感度、特異度を算出する。また、成人でのアトピー性皮膚炎の医師の診
断による有症率を明らかにする。
2)複数の地域の保健所において乳幼児アトピー性皮膚炎の経過の追跡調査を行い、
アトピー性皮膚炎の経過ならびに患者集団の異同、治療法、環境因子の関与などを解
析し、本症の疾患概念のよりよい理解の確立を目指す。
3)小学校および幼稚園・保育園においてシャワー浴をアトピー性皮膚炎の患児に行
い、シャワー浴の本症に対する効果を客観的に検証する。
4)組織傷害によるアトピー素因の誘導の機序を解明し、発症率の低下・症状悪化防
止対策の有効性の基礎的解明を行なう。
結果と考察
1)改訂「診断のための質問票」の有用性が示唆された。効率のよい全国レベルでの
本疾患の有症率の推定に有用と考えられる。
2)成人でのアトピー性皮膚炎の有症率を明らかとした。
3)アトピー性皮膚炎の発症に38度以上の発熱回数と母乳保育の関連が示唆された。
4)乳児アトピー性皮膚炎の発症・悪化因子における黄色ブドウ球菌の重要性が明ら
かとなった。
5)アトピー性皮膚炎小学児童を対象として学校でのシャワー浴の効果を明らかにした。
6)成人アトピー性皮膚炎患者において塩素除去シャワーヘッドの効果を明らかとし
た。
7)「高尿酸血症マウス」モデルでの皮膚炎発症の有無の検討を開始している。
8)2002年版アトピー性皮膚炎治療ガイドラインを改訂した。
結論
本年度の研究により アトピー性皮膚炎の有症率調査に有用な質問票の作成および発
症・症状悪化因子の同定を行うことが可能と考えられる。また、今年度から開始した
コホート調査・介入研究により、アトピー性皮膚炎発症・増悪防止対策における生活
環境整備に関する指針を示すことが可能となることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2005-05-12
更新日
-