文献情報
文献番号
200400701A
報告書区分
総括
研究課題名
食物等によるアナフィラキシー反応の原因物質(アレルゲン)の確定、予防・予知法の確立に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
海老澤 元宏(独立行政法人国立病院機構相模原病院臨床研究センターアレルギー性疾患研究部)
研究分担者(所属機関)
- 近藤 直実(岐阜大学大学院医学研究科小児病態学)
- 大嶋 勇成(福井大学医学部病態制御医学講座小児科)
- 宇理須 厚雄(藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院小児科)
- 柴田 瑠美子(独立行政法人国立病院機構福岡病院小児科)
- 相原 雄幸(横浜市立大学医学部附属市民総合医療センター小児科)
- 赤澤 晃(国立成育医療センター総合診療部小児期診療科)
- 穐山 浩(国立医薬品食品衛生研究所食品部)
- 玉置 淳子(近畿大学医学部公衆衛生学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
28,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
食物アレルギー等によるアナフィラキシーの原因物質の確定、予防・予知法を確立し、食物アレルギーに関する医療の混乱を正すために食物アレルギーの診療の手引きを完成させ診療レベルの向上を図ること。
研究方法
食物アレルギーの診療の手引き作成にあたり今年度にドラフトを作成し次年度の検討委員会で完成後厚生労働省のホームページで公表する予定。食物負荷試験ネットワーク研究は診断食提供と共通プロトコールを用いて実施し累計948例に到達した。卵(1025例)・牛乳(458例)・小麦(437例)・大豆(422例)のIgECAPRAST抗体価と負荷試験結果を比較し症状誘発の可能性を求めた。食物アレルギー全国モニタリング調査を平成17年1月から協力医師1187名の参加を得て3ヶ月毎に4回施行予定。食物アレルギーによる重篤・死亡例調査は31の食物アレルギー患者会を対象に行った。食物依存性運動誘発性アナフィラキシーの疫学調査を横浜市の全小学校を対象に実施した。食物抗原の抗原解析を抗原の低減化と交差抗原性の観点より検討した。経口的に免疫学的寛容を誘導する方法を開発するために臨床・試験管内・動物実験モデルで検討した。
結果と考察
診療の手引きのドラフトの特徴として病型分類を明確にして対応をフローチャート化し、一般医と食物アレルギー専門医の役割分担を明確にした。負荷試験の陽性率は全体で45%、IgE抗体の陽性率は81%と解離を認め負荷試験の有用性が示された。卵・牛乳特異的IgE抗体価は年齢を考慮すれば診断的価値は高かったが、小麦・大豆は可能性が90%を越える抗体価は得られなかった。患者会調査で入院例115例、死亡例2例が報告され、次年度に該当医療機関を対象に詳細を調査予定。小学生の食物依存性運動誘発性アナフィラキシーの有病率は0.005%で中学生が最も有病率が高いことが示された。甲殻類の抗原解析と特異的抗体が作成され、IgE抗体レベルでの交差抗原性を5種類の抗原において明らかにした。卵アレルギーにおいて加熱脱オボムコイドの4週間連続摂取により寛解誘導される可能性が示され、試験管内・動物実験モデルにおいて経口的に免疫学的寛容を導ける可能性が示された。
結論
厚生労働科学研究で得られた調査結果・研究成果を生かし「食物アレルギーの診療の手引き」を完成させ小児から成人までの食物アレルギーに関する診断・治療レベルの向上により患者の生活の質の向上を図ることが期待できる。
公開日・更新日
公開日
2005-05-12
更新日
-