免疫アレルギー疾患に係わる胎内・胎外因子の同定に関する研究

文献情報

文献番号
200400700A
報告書区分
総括
研究課題名
免疫アレルギー疾患に係わる胎内・胎外因子の同定に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
森川 昭廣(群馬大学大学院 医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 近藤 直実(岐阜大学大学院 医学研究科)
  • 大田 健(帝京大学 医学部)
  • 足立 満(昭和大学 医学部)
  • 河野 陽一(千葉大学 医学研究院)
  • 小田嶋 博(国立病院機構 福岡病院)
  • 徳山 研一(群馬大学大学院 医学系研究科)
  • 吉原 重美(獨協医科大学)
  • 本間 洋子(自治医科大学)
  • 荒川 浩一(群馬大学 付属病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
16,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
アレルギー疾患は、遺伝的要因と環境的要因(胎内・胎外因子)が複雑に絡み合って発症していくと考えられている。本研究は、気管支喘息に係わる胎内・胎外因子の同定、特に感染因子を中心とした研究を行い、喘息の発症および増悪阻止について寄与することを目的とする。
研究方法
胎内因子として、胎内感染とアレルギー疾患発症との関連、胎内環境の指標として臍帯血サイトカイン・ケモカインとの関連、さらに、感染に対する感受性遺伝子などから検討した。胎外因子では、RS感染とtoll様受容体から検討を行っている。一方、増悪要因としては、ウイルス感受性遺伝子や炎症に関連した遺伝子、気道組織とウイルスとの相互作用などの点から検討を加えた。
結果と考察
妊娠中の母体感染と乳児期の反復性喘鳴との関連は明らかではなかったが、喘息の家族歴を考慮すると関連性を認めた。また、母体ureaplasma感染は、新生児慢性肺疾患、さらに乳児期の反復性喘鳴と関連がみられた。臍帯血IL-10と乳児期の反復性喘鳴との関連が示唆され、児の免疫系に影響を与えるいくつかの因子が喘鳴発症に関わることが示唆された。RSウイルス感染による喘鳴や感染後の喘鳴発症にCD14、IFN-γ、IL-13の遺伝子多型が関連している可能性が示唆された。胎外因子として、RSウイルス感染で喘鳴を呈した児ではTh1系の反応が低下し、アラキドン酸代謝産物が上昇していることを明らかにした。In vitroでのウイルス感染モデルでは、気道上皮からサイトカインやケモカインの産生ばかりでなく、自然免疫受容体や接着分子、成長因子やMMP遺伝子群が発現増強することを明らかにした。また、気道上皮と好酸球では受容体を介した応答に相違があることが明らかになった。気道アレルギー性炎症の進展・修復機序に個体の成熟度により修飾をうけることが示唆された。
結論
反復性喘鳴(喘息)の発症や増悪に、感染が重要な役割を果たすことが示唆された。今後、明らかにされた因子を、更に詳しく検討して行くことにより、これらの因子に対して介入(除去・予防)した場合の効果を検討することも重要な課題である。

公開日・更新日

公開日
2005-05-12
更新日
-