気管支喘息の慢性化・難治化の予防を目指す、早期介入療法のための早期診断法の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200400699A
報告書区分
総括
研究課題名
気管支喘息の慢性化・難治化の予防を目指す、早期介入療法のための早期診断法の確立に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
福田 健(獨協医科大学内科学(呼吸器・アレルギー))
研究分担者(所属機関)
  • 足立 満(昭和大学 医学部)
  • 棟方 充(福島県立医科大学)
  • 秋山 一男(国立相模原病院)
  • 井上 洋西(岩手医科大学)
  • 大田 健(帝京大学 医学部)
  • 三嶋 理晃(京都大学 医学部)
  • 岩本 逸夫(千葉大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
24,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
気管支喘息の慢性化・難治化の予防を目指す早期介入療法のための喘息早期診断法の確立。研究は、1)喘息特異的臨床像が発病初期にみられないかを検討する後ろ向き研究、2)前向き研究、3)咳喘息の臨床的検討、4)早期診断に向けた従来の検査法の見直しと新しい検査法の開発、5)早期診断基準策定の5つのパートからなる。
研究方法
研究1)「後ろ向き研究・症例選択基準」を満たす220症例の調査票を解析した。研究2)本年度も各施設で組み入れ中。研究3)アトピー型咳喘息患者に抗原誘発試験を行った。研究4)喘息早期診断における末梢気道呼吸機能、呼気NO、HRCT、終夜睡眠脳波(PSG)測定の意義の検討を症例数を増やして行った。血清TARC値、形質細胞様樹状細胞(PDCs)機能測定の意義、気管支粘膜生検組織におけるSmad7、amphiregulin発現解析の意義、Churg-Strauss syndrome(CSS)に伴う喘息の初期臨床像についても検討した。
結果と考察
喘息発症時の症状は咳嗽79.5%、喘鳴65.0%、呼吸困難44.5%。咳は夜間?早朝、運動で増悪。発症時高率に認めた検査値異常は、気道過敏性亢進91%、%V25低値(70%以下)88%、喀痰中好酸球陽性84%。アトピー型咳喘息の咳回数は気道収縮と好酸球炎症の程度と相関した。%V25値、%V50値、呼気NO測定は簡便であるが早期診断に有用なことが今年度の研究4)でも確認できた。吸気/呼気HRCT所見、血清TARC値も初期喘息の鑑別に有用。気管支生検組織のSmad7発現解析は初期喘息であることの確認に有用である可能性あり。amphiregulinの気道内発現解析も喘息診断に有用である可能性あり。CSSに伴う喘息の初期臨床像は一般喘息と異なることから予知できる可能性あり。喘息患者のPSGでの異常睡眠パターンは睡眠時無呼吸症候群患者(SAS)と異なるので、SAS患者群から早期喘息を検知できることもあり。PDCsのアレルギー疾患発症制御における役割がかなり解明され、末梢血PDCs解析が将来的には喘息早期診断に有効である可能性も示された。
結論
夜間から早朝、運動で増悪する咳嗽、気道過敏性亢進、Flow-Volume曲線での%V25低値(70%以下)、喀痰中好酸球陽性、呼気NO値増加を喘息早期診断基準に採用できる可能性が大。上記で示した他の指標は喘息の確認、他の疾患との鑑別に有用であろう。平成17年度前半に喘息早期診断基準案を作成予定。

公開日・更新日

公開日
2005-05-12
更新日
-