気道過敏性の簡便な診断法開発とその応用による喘息管理向上に関する研究

文献情報

文献番号
200400695A
報告書区分
総括
研究課題名
気道過敏性の簡便な診断法開発とその応用による喘息管理向上に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
一ノ瀬 正和(和歌山県立医科大学医学部内科学第三講座)
研究分担者(所属機関)
  • 秋山 一男(独立行政法人国立病院機構相模原病院臨床研究センター)
  • 長瀬 隆英(東京大学医学部呼吸器内科)
  • 大田 健(帝京大学医学部内科学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
12,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
気道過敏性とは非特異的な刺激に対する気道反応性の程度のことであり、喘息の診断や治療効果の指標として有用である。しかし現在の測定法は安全性や簡便性などの点に問題があり、より簡便な検査法の確立が望まれる。本研究では従来の気道過敏性検査に代わる簡便な生理学的指標の確立と、呼気凝縮液を用いて測定可能なバイオマーカーの確立を目的とした。
研究方法
気道過敏性検査はアストグラフを用いて測定し、ピークフロー値の週内変動との関連性を検討した。呼気凝縮液は据え置き型とポータブル型の2種類の装置を用いて採取し、安全性や簡便性および従来の検査である誘発喀痰との比較検討を行った。呼気凝縮液中で測定できるバイオマーカーの探索として、蛋白濃度や種々の炎症関連物質の測定を行った。またHuman Cytokine Arrayキットを用いて、呼気凝縮液中のサイトカイン、ケモカインの発現を検討した。さらに以上の測定物質と気道過敏性との関連性について検討した。遺伝子改変マウスとして、CGRP、PAF受容体、LTB4の ノックアウトマウスを用い、気道反応性および気管支肺胞洗浄液中の各種炎症関連物質を測定した。
結果と考察
ピークフローの週内変動率はメサコリンによる気道過敏性とよい相関を示し、気道過敏性の生理学的指標として代用しうる可能性が示された。呼気凝縮液では蛋白や種々の炎症関連物質が測定可能であった。Cytokine Arrayを用いた検討では、とくにIL-17、IP-10、TNF-βは喘息の重症化に伴い発現の増強が認められた。以上より、いくつかの物質は喘息の重症度や治療効果の指標、気道過敏性を反映する指標になりうると考えられた。さらに遺伝子操作動物を用いた検討では、CGRP、PAF、LTB4がいずれも気道過敏性に関与することが示された。今後これらの生化学的指標をさらに詳細に検討することで、呼気凝縮液を用いた測定は、簡便かつ迅速、非侵襲的に喘息の病態を評価しうる検査として、日常臨床に応用できる可能性が示された。
結論
気道道過敏性検査にかわる生理的指標としては、ピークフロー値の週内変動率が有用であると考えられた。新しい生化学的指標としては、サイトカイン、ケモカイン、成長因子等、喘息の気道炎症関連物質の測定が有望であると推定された。

公開日・更新日

公開日
2005-05-12
更新日
-