地域集団でのコホート研究による便中細菌診断妥当性の研究

文献情報

文献番号
200400690A
報告書区分
総括
研究課題名
地域集団でのコホート研究による便中細菌診断妥当性の研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
白川 太郎(京都大学大学院(医学研究科))
研究分担者(所属機関)
  • 清野宏(東京大学(医科学研究所))
  • 出原賢治(佐賀大学(医学部))
  • 古賀泰裕(東海大学(医学部))
  • 園元謙二(九州大学大学院(農学研究院))
  • 中山二郎(九州大学大学院(農学研究院))
  • 古江増隆(九州大学大学院(農学研究院))
  • 柴田瑠美子(国立病院機構福岡病院(小児科))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 免疫アレルギー疾患予防・治療研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成18(2006)年度
研究費
13,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
アレルギー疾患はいずれの年齢でも発症し、国民の38%が罹患する最も頻度の高い生活習慣病であり、国民のQOLの立場から特に重要な疾患である。16年度には以上の目的を達成するため、13-15年度の成果を踏まえて(1)便中の細菌の分子遺伝学的な検査法の確立(2)腸管免疫系のマウスにおける実験モデルの確立、(3)ヒト個体のアレルギー疾患関連遺伝子解析との比較(4)腸内細菌とアレルギーとの関連依関しての一般集団における疫学調査を熊本県小国町と石垣島で行う。
研究方法
1. 早期診断に向けての疫学調査:熊本県小国町、沖縄県石垣島を選定した。
2. マウスにおける解析:腸内細菌を再建したマウスにwild type とmutant typeの病原 性大腸菌を感染させ、免疫寛容の成立の有無を比較検討する。
3. 便の細菌相の検索:福岡市内の井槌産婦人科医院での新生児を対象にして、便の収集を行い解析した。4. ヒトアレルギー関連遺伝子解析:理化学研究所及び京都大学にて、正常対照、小児喘息例、成人喘息例を収集して全ゲノムSNP解析を行った。
結果と考察
1. 疫学調査の開始:大規模疫学調査として、昨年度より小国町に研究会を立ち上げた。2.アレルギー性腸炎モデルマウスは、人食物アレルギーのモデルと考えられ、このマウスをSPF, GF下で飼育し、比較することで、免疫系への影響を分子遺伝学的に見る実験を開始する準備を行なった。3. アトピー遺伝子の解析:前年度に引き続き約85,000個のSNP(1塩基置換)を比較し有意に頻度に差のあるSNPが最終的に17個程度発見された。4. 便のマイクロアレイ診断法の確立:36名の新生児の便につき約415クローンを抽出し、配列解析を行った。GRAM陽性、陰性両種合わせて41種類の菌を同定した。
結論
新生児以降の免疫の発達にはリンパ節が重要な役割を担っており、その免疫を誘導する因子として消化管における細菌相の発育が消化管でのアレルギー反応に重要な役割を果たしていることが明らかとなった。16SrDNA法による迅速診断法が開発可能であることが判明した。フィールドでの新生児試験が開始され、今後この方法を用いて大規模な疫学調査を行い、信頼性を高める作業が可能になった。この情報と石垣島でのフィールド調査、遺伝子情報を組み合わせて早期にアトピー性皮膚炎の発症を予測可能性が示された

公開日・更新日

公開日
2005-05-12
更新日
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