慢性C型肝炎に対する治療用ヒト型抗体の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200400688A
報告書区分
総括
研究課題名
慢性C型肝炎に対する治療用ヒト型抗体の開発に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
松浦 善治(大阪大学微生物病研究所エマージング感染症研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 森石 恆司(大阪大学微生物病研究所エマージング感染症研究センター)
  • 石井 孝司(国立感染症研究所ウイルス第二部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
21,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
HCVのエンベロープ蛋白質に対するヒト型モノクローナル抗体の中和活性をHCV持続感染チンパンジーで評価するとともに、HCVの感染機構を解析する。また、HCVコア蛋白質の成熟・分解機構と核内移行の生物学的意義を解析する。
研究方法
1) HCVシュードタイプ水疱性口内炎ウイルス(VSV-pp)、組換えバキュロウイルスで作製したHCV様粒子、そして、患者血清中のHCV粒子の各種細胞への感染性と結合活性を解析した。
2) 宿主プロテアーゼによるHCVコア蛋白質の開裂と、宿主因子との相互作用を解析した。
結果と考察
1) VSV-pp、HCV様粒子、ならびに患者血清中のHCV粒子を用いた解析から、ヒト繊維芽細胞成長因子受容体(hFGFR)が、HCVの新規受容体候補であることが示された。
2) ほとんどのC型肝炎患者血清中には、ヒトCD81依存的に感染するVSV-ppに対する中和活性が検出されたが、FGFR依存的に感染するVSV-ppを中和できるものはなかったことから、中和されにくいFGFR依存的な感染が、真のHCV感染を反映している可能性が示唆される。
3) HCVコア蛋白質は宿主プロテアーゼによって成熟され、核に移行してプロテアソーム調節因子であるPA28γ依存的に分解された。細胞質で複製するHCVのキャプシド構成蛋白質であるコア蛋白質が、核に移行してPA28γ依存的に分解されることの意義付けが今後の課題である。
結論
1) hFGFRはHCVの新規受容体候補である。
2) コア蛋白質は成熟後、核に移行してPA28γ依存的に分解される。

公開日・更新日

公開日
2005-03-31
更新日
-

文献情報

文献番号
200400688B
報告書区分
総合
研究課題名
慢性C型肝炎に対する治療用ヒト型抗体の開発に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
松浦 善治(大阪大学微生物病研究所エマージング感染症研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 森石 恆司(大阪大学微生物病研究所エマージング感染症研究センター)
  • 石井 孝司(国立感染症研究所ウイルス第二部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
HCVのエンベロープ蛋白質に対するヒト型モノクローナル抗体の中和活性をHCV持続感染チンパンジーで評価するとともに、HCVの感染機構を解析する。また、HCVコア蛋白質の成熟・分解機構と核内移行の生物学的意義を解析する。
研究方法
1) 抗HCVエンベロープヒト抗体のウイルス排除活性を、HCV持続感染チンパンジーで評価した。
2) HCVシュードタイプ水疱性口内炎ウイルス(VSV-pp)、組換えバキュロウイルスで作製したHCV様粒子、そして、患者血清中のHCV粒子の各種細胞への感染性と結合活性を解析した。
3) 宿主プロテアーゼによるHCVコア蛋白質の開裂と、宿主因子との相互作用を解析した。
結果と考察
1) 抗HCVエンベロープヒト抗体によるHCV持続感染チンパンジーでのウイルス中和活性は一過的なものであり、HCVを生体から排除するには至らなかった。今回評価した抗体にはVSV-ppの感染を中和できるものはなかったので、VSV-ppを中和できる抗体の作製が重要と思われる。
2) VSV-pp、HCV様粒子、ならびに患者血清中のHCV粒子を用いた解析から、ヒト繊維芽細胞成長因子受容体(hFGFR)が、HCVの新規受容体候補であることが示された。
3) ほとんどのC型肝炎患者血清中には、ヒトCD81依存的に感染するVSV-ppに対する中和活性が検出されたが、FGFR依存的に感染するVSV-ppを中和できるものはなかったことから、中和されにくいFGFR依存的な感染が、真のHCV感染を反映している可能性が示唆される。
4) HCVコア蛋白質は宿主プロテアーゼによって成熟され、核に移行してプロテアソーム調節因子であるPA28γ依存的に分解された。細胞質で複製するHCVのキャプシド構成蛋白質であるコア蛋白質が、核に移行してPA28γ依存的に分解されることの意義付けが今後の課題である。
結論
1) 今回作製した抗HCVエンベロープヒト抗体は、HCVを生体から排除できなかった。
2) hFGFRはHCVの新規受容体候補である。
3) コア蛋白質は成熟後、核に移行してPA28γ依存的に分解される。

公開日・更新日

公開日
2005-03-31
更新日
-