血液透析施設におけるC型肝炎感染事故(含:透析事故)防止体制の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200400686A
報告書区分
総括
研究課題名
血液透析施設におけるC型肝炎感染事故(含:透析事故)防止体制の確立に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
山崎 親雄(社団法人日本透析医会)
研究分担者(所属機関)
  • 秋澤 忠男(和歌山医科大学血液浄化センター)
  • 大平 整爾(札幌北クリニック)
  • 鈴木 正司(信楽園病院)
  • 秋葉  隆(東京女子医科大学腎臓病総合医療センター)
  • 篠田 俊雄(社会保険中央総合病院)
  • 鈴木  満(東葛クリニック病院)
  • 内藤 秀宗(社団法人日本透析医学会)
  • 栗原  怜(春日部内科クリニック)
  • 吉田 豊彦(みはま病院)
  • 杉崎 弘章(府中腎クリニック)
  • 渡邊 有三(春日井市民病院)
  • 中井  滋(名古屋大学大幸医療センター在宅医療部)
  • 宇田眞紀子(日本腎不全看護学会)
  • 川崎 忠行(社団法人日本臨床工学技士会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
13,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
研究最終年である本年は,感染・事故防止に関する地域での取り組みと,施設基準およびスタッフ適正配置に関する提示を重点的に研究した.
研究方法
1.安全を考えた施設基準とスタッフ適正配置については,研究班案を提示し,これに基づく意見収集及び実態調査を実施した.
2.愛知県透析医会は事故報告及び研修制度を立ち上げ,事故事例を集約中である.
3.透析装置関連の事故についてアンケート調査を実施した.
4.提示されている事故防止マニュアルおよび標準的回路の周知・使用調査を実施した.
結果と考察
1.ヒト・もの・設備・運営などに関し,74項目について,「必須」・「望ましい」に分類した安全に関する施設基準を提示した.またスタッフ配置については,たとえば私立診療所では,患者一人当たりの平均看護必要度1.58と,スタッフ一人当たりの受け持ち看護必要度5.1(透析終了返血時)から,平均3.23人の患者を受け持っていることになる.この受け持ち患者必要看護度が増加する(多忙になる)と,抜針事故頻度が増すという単純な関係は認められなかった.
2.愛知県透析医会は,84施設から,1年で,レベル3以上の事故事例74件の報告を受けた.これにはC型肝炎新規感染事故(単発)1例が含まれる.
3.透析装置およびその周辺機器の故障や操作ミスによる透析医療事故は総計6,057件(100万透析に152件の頻度)が報告された.
4.「安全な血液透析療法のための標準的血液回路」については,なお1,318施設において,408通りの血液回路が使用されている実態が判明した.また,「透析医療事故防止のための標準的透析操作マニュアル」については,99%の認知度が得られ,空気返血の禁止,ルアロックの使用に関しては,確実に実行されてきている.
結論
C型肝炎感染および透析事故防止のため,安全を考えた施設基準と適正スタッフ数を提示した.今後,これらの基準は,自己評価および「peer review」のツールとしたい.

公開日・更新日

公開日
2007-03-22
更新日
-

文献情報

文献番号
200400686B
報告書区分
総合
研究課題名
血液透析施設におけるC型肝炎感染事故(含:透析事故)防止体制の確立に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
山崎 親雄(社団法人日本透析医会)
研究分担者(所属機関)
  • 秋澤 忠男(和歌山医科大学血液浄化センター)
  • 大平 整爾(札幌北クリニック)
  • 鈴木 正司(信楽園病院)
  • 秋葉  隆(東京女子医科大学腎臓病総合医療センター)
  • 篠田 俊雄(社会保険中央総合病院)
  • 鈴木  満(東葛クリニック病院)
  • 内藤 秀宗(社団法人日本透析医学会)
  • 栗原  怜(春日部内科クリニック)
  • 吉田 豊彦(みはま病院)
  • 杉崎 弘章(府中腎クリニック)
  • 渡邊 有三(春日井市民病院)
  • 中井  滋(名古屋大学大幸医療センター在宅医療部)
  • 宇田眞紀子(日本腎不全看護学会)
  • 川崎 忠行(社団法人日本臨床工学技士会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
透析におけるC型肝炎と,透析関連事故撲滅を目的として計画された本研究は,マニュアルの遵守以外に,以下に示す環境整備が重要と考え実施された.
研究方法
1.日本透析医学会調査からHCV抗体陽転率を求めた.
2.集団感染調査報告書を分析し,感染原因を推測した.
3.事故に関してアンケート調査を実施した.
4.施設基準およびスタッフ適正配置案を提示し,意見聴取・調査を実施した.
5.愛知県透析医会による事故報告・研修制度を立ち上げた.
結果と考察
1.HCV抗体陽転率は2.1%/年と高率であった.また集団感染の調査報告書から,①感染源となった患者がキャリアーと認知されていない例もあったこと,②ヘパリン生食など共通に使用される薬剤が感染経路として推測されていること,が明らかとなった.
2.以上の結果から,全ての透析医療施設に対して,①共通使用薬剤の汚染防止,②HCV抗原検査またはHCV-RNA検査の実施,③HCVキャリアーのベッド固定,④B型肝炎ワクチン接種,⑤陽転または陽性患者への情報提供を行うこと,の5点をウィルス性肝炎集団感染防止のための重点項目とする緊急勧告を行った.
3.100万透析あたり,重篤な事故は40.4件,アクセス関連事故は34.4件,透析装置関連の事故は152件の頻度であった.
4.ヒト・もの・運営・設備など74項目にわたる安全を考慮した施設基準が提示された.また,私立診療所ではスタッフ一人が3.23人受け持つ実態が明らかとなったが,受け持ち看護度の多い施設で,抜針事故頻度が高いという関係は証明されなかった.
5.愛知県透析医会では,84施設・1年間の調査で,74件(単発のC型肝炎新規感染事故を含む)のレベル3以上の事故の報告があった.
結論
これらの成果を,肝炎感染・事故防止に関する「peer review」のためのツールとしたい.

公開日・更新日

公開日
2007-03-22
更新日
-