肝がん患者のQOL向上に関する研究

文献情報

文献番号
200400680A
報告書区分
総括
研究課題名
肝がん患者のQOL向上に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
藤原 研司(埼玉医科大学(医学部))
研究分担者(所属機関)
  • 小俣 政男(東京大学大学院(医学系研究科))
  • 工藤 正俊(近畿大学(医学部))
  • 熊田 博光(虎の門病院(消化器科))
  • 佐田 通夫(久留米大学(医学部))
  • 國土 典宏(東京大学大学院(医学系研究科))
  • 門田 守人(大阪大学大学院(医学系研究科))
  • 兼松 隆之(長崎大学(医学部))
  • 田中 紘一(京都大学大学院(医学系研究科))
  • 森脇 久隆(岐阜大学(医学部))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
13,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
肝がんは根治的治療が行われても再発が避けられず,治療を長期に亘って繰り返さざるを得ない。従って,各治療法の有用性も生存率のみではなく,患者のQOL(quality of life)を考慮して評価する必要がある。肝がんに対する各種治療法の有用性をQOLの観点から評価する目的で,15年度に作成した肝がん患者用の新規質問票を用いてprospective studyを実施した。
研究方法
計21項目,4種類の下位尺度からなる新規質問票とSF-36を用いて肝がんの初回及び再治療例を対象に治療前と治療後3ヶ月毎にQOLを評価した。両質問票のスコアと治療法との関連を統計学的に解析した。
結果と考察
肝がん治療後3ヶ月で,手術(肝切除)群のRP(日常役割機能)スコアは低下し,RFA群との間に有意差を認めた。PF(身体機能),BP(体の痛み)スコアは各治療法で下降し,GH(全体的健康感)は改善する傾向を示した。手術(肝切除)群では治療前に比して治療後のBP(体の痛み)が有意に低値であった。肝がん治療後,TAE群の新規質問票・D(経済的負担感)スコアは低下し,手術(肝切除)群との間に有意差を認めた。肝がん治療時の痛み(Q19)のスコアは,RFA群で他より有意に低値であった。治療後の皮膚症状(Q20)のスコアは,手術(肝切除)群に比べRFA群で有意に高値であった。治療後3ヶ月までのQOLに関しては,治療時の痛みをコントロールできれば,RFA治療後のQOLは他の治療法に比べて良好である可能性が示された。新規質問票はSF-36と共に用いることで肝がん患者のQOLの評価に有用であると考えられた。
結論
治療後3ヶ月までのQOLに関しては,治療時の痛みをコントロールできれば,RFA治療後のQOLは他の治療法に比べて良好である可能性が示された。本研究で開発した新規質問票はSF-36と共に用いることで肝がん患者のQOLの評価に有用であると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2005-05-09
更新日
-

文献情報

文献番号
200400680B
報告書区分
総合
研究課題名
肝がん患者のQOL向上に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
藤原 研司(埼玉医科大学(医学部))
研究分担者(所属機関)
  • 小俣 政男(東京大学大学院(医学系研究科))
  • 工藤 正俊(近畿大学(医学部))
  • 熊田 博光(虎の門病院(消化器科))
  • 佐田 通夫(久留米大学(医学部))
  • 國土 典宏(東京大学大学院(医学系研究科))
  • 門田 守人(大阪大学大学院(医学系研究科))
  • 兼松 隆之(長崎大学(医学部))
  • 田中 紘一(京都大学大学院(医学系研究科))
  • 森脇 久隆(岐阜大学(医学部))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
肝がんに対する各種治療法の有用性をQOLの観点から評価をすることを目的としてretrospective study,及び独自に肝がん患者用の新規質問票を作成してprospective studyを実施した。
研究方法
Retrospective study: 1998年1年間に全国10施設で肝がんに対する初回の治療を実施した症例を対象とした。入院中の安静度,外来通院頻度別にQOLの程度を指数化し,これを基にQALYsを算出し,治療法との関連性を検討した。Pilot study:分担研究者を対象に,SF-36の質問項目以外で肝がん患者のQOLを評価する際に必要な事項についての見解を調査した。提案された項目を取捨選択して計21項目からなる新規質問票を作成した。848例の慢性肝疾患患者を対象に,SF-36と新規質問票を用いたアンケート調査を行い,新規質問票の因子分析と信頼性を解析した。Prospective study:新規質問票とSF-36を用いて肝がんの初回及び再治療例を対象に治療前と治療後3ヶ月毎にQOLを評価した。
結果と考察
Retrospective study:治療後365日までの短期予後は,生存期間や生存率で比較するとPMCT,PEIT,手術の間に差異が認められなかったが,これをQALYsに変換するとPMCTが他の治療法より有意に良好であることが明らかになった。 Pilot study:新規質問票のうち肝がん治療後用の3項目を除く18項目は,4種類の下位尺度に分類された。その信頼性はCronbach α係数が0.70以上であった。Prospective study:肝がん治療後3ヶ月で,手術群のRP(日常役割機能)スコアは低下し,RFA群との間に有意差を認めた。手術群では治療前に比して治療後のBP(体の痛み)スコアが有意に低値であった。肝がん治療後,IVR群の新規質問票・D(経済的負担感)スコアは低下し,手術群との間に有意差を認めた。肝がん治療時の痛み(Q19)のスコアは,RFA群で他より有意に低値であった。治療後の皮膚症状(Q20)のスコアは,手術群に比べRFA群で有意に高値であった。新規質問票はSF-36と共に用いることで肝がん患者のQOLの評価に有用と考えられた。
結論
治療後3ヶ月までのQOLに関しては,治療時の痛みをコントロールできれば,局所治療後のQOLは他の治療法に比べて良好である可能性が示された。

公開日・更新日

公開日
2005-05-09
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-02-20
更新日
-