進行肝がんに対する集学的治療に関する研究

文献情報

文献番号
200400679A
報告書区分
総括
研究課題名
進行肝がんに対する集学的治療に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
門田 守人(大阪大学大学院 医学系研究科病態制御外科)
研究分担者(所属機関)
  • 金子周一(金沢大学大学院医学系研究科 がん制御学)
  • 嶌原康行(京都大学大学院医学研究科 消化器外科学)
  • 神代正道(久留米大学医学部病理学)
  • 小俣政男(東京大学大学院医学系研究科 消化器内科)
  • 中村仁信(大阪大学大学院医学系研究科 医用制御工学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
32,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
脈管侵襲、多発病巣、遠隔転移などをともなう進行肝細胞癌は極めて予後不良・治療対象外とされ、新治療の開発もない。このような既存治療が奏功しない、進行肝癌に対する新治療の開発は、その予後向上に寄与することは間違いない。
われわれは、門脈内腫瘍栓をともなう進行肝細胞癌に対しインターフェロン(IFN-α)併用5FU動注化学療法(以下IFN併用化学療法)を施行し、その有効性について報告してきた。今後の発展には、適切な評価に基づく有効性の裏付けと、作用機序の解明が重要課題となる。本研究においては、RCTによる有効性の検証と、その科学的根拠についての基礎的検討を目的とする。
研究方法
[1] 臨床的検討 全肝多発病巣をともなう進行肝癌を対象とし、IFN併用化学療法と5FU単剤の動注化学療法の2群間でRCTを施行した。
[2] 基礎的検討 本療法の作用機序を、①IFN-αレセプター及びそのシグナル伝達機構、②血管新生因子との関係、③IFN-αの免疫学的機序関与、④治療効果予測を目的とし、臨床検体による網羅的遺伝子解析を施行した。
結果と考察
[1] 臨床的検討 2003年10月よりRCTを開始し、2004年3月末までに、34症例が登録され、抗腫瘍効果とその予後について検討中である。
[2] 基礎的検討 ①IFN-αレセプターとシグナル伝達:細胞周期関連の遺伝子・蛋白発現に関して、STAT、Bcl-Xlの関与が明らかになり、IFN受容体の遺伝子導入による検討で、受容体の発現と抗腫瘍効果の関係が証明された。②抗血管新生関連:ヒト腫瘍移植モデルにて、免疫組織染色により、IFN/5FUと腫瘍内のMVDの低下が示された。③免疫作用関連分子: IFN/5FU併用において、T細胞上のTRAILや腫瘍細胞上のTRAIL receptor(TRAIL-R)の発現は増強し、肝癌細胞傷害能を増強させ、この機序に関する免疫担当細胞はNK細胞であった。④網羅的遺伝子解析:約85%の正診率で効果予測を施行しえた。
結論
現時点においては、基礎的検討において、IFN併用化学療法の有用性は証明された。これらの結果に加えて、さらに現在進行中の臨床試験の今後の成果により、進行肝細胞癌に対する新規治療としての有用性が証明される可能性は十分に高い。この成果は、本邦のみならず世界的にも極めて重要なものとなると期待される。

公開日・更新日

公開日
2005-05-20
更新日
-

文献情報

文献番号
200400679B
報告書区分
総合
研究課題名
進行肝がんに対する集学的治療に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
門田 守人(大阪大学大学院 医学系研究科病態制御外科)
研究分担者(所属機関)
  • 金子周一(金沢大学大学院医学系研究科 がん制御学)
  • 嶌原康行(京都大学大学院医学研究科 消化器外科学)
  • 神代正道(久留米大学医学部 病理学)
  • 小俣政男(東京大学大学院医学系研究科 消化器内科)
  • 中村仁信(大阪大学大学院医学系研究科 医用制御工学講座 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
脈管侵襲、多発病巣、遠隔転移などをともなう進行肝細胞癌は極めて予後不良・治療対象外とされ、新治療の開発もない。このような既存治療が奏功しない、進行肝癌に対する新治療の開発は、その予後向上に寄与することは間違いない。
われわれは、門脈内腫瘍栓をともなう進行肝細胞癌に対しインターフェロン(IFN-α)併用5FU動注化学療法(以下IFN併用化学療法)を施行し、その有効性について報告してきた。今後の発展には、適切な評価に基づく有効性の裏付けと、作用機序の解明が重要課題となる。本研究においては、RCTによる有効性の検証と、その科学的根拠についての基礎的検討を目的とする。
研究方法
[1] 臨床的検討 全肝多発病巣をともなう進行肝癌を対象とし、IFN併用化学療法と5FU単剤の動注化学療法の2群間でRCTを施行した。
[2] 基礎的検討 本療法の作用機序を、①IFN-αレセプター及びそのシグナル伝達機構、②血管新生因子との関係、③IFN-αの免疫学的機序関与、④治療効果予測を目的とし、臨床検体による網羅的遺伝子解析を施行した。
結果と考察
[1] 臨床的検討 2003年10月よりRCTを開始し、2004年3月末までに、34症例が登録され、抗腫瘍効果とその予後について検討中である。
[2] 基礎的検討 ①IFN-αレセプターとシグナル伝達:細胞周期関連の遺伝子・蛋白発現に関して、STAT、Bcl-Xlの関与が明らかになり、IFN受容体の遺伝子導入による検討で、受容体の発現と抗腫瘍効果の関係が証明された。②抗血管新生関連:ヒト腫瘍移植モデルにて、免疫組織染色により、IFN/5FUと腫瘍内のMVDの低下が示された。③免疫作用関連分子: IFN/5FU併用において、T細胞上のTRAILや腫瘍細胞上のTRAIL receptor(TRAIL-R)の発現は増強し、肝癌細胞傷害能を増強させ、この機序に関する免疫担当細胞はNK細胞であった。④網羅的遺伝子解析:約85%の正診率で効果予測を施行しえた。
結論
現時点においては、基礎的検討において、IFN併用化学療法の有用性は証明された。これらの結果に加えて、さらに現在進行中の臨床試験の今後の成果により、進行肝細胞癌に対する新規治療としての有用性が証明される可能性は十分に高い。この成果は、本邦のみならず世界的にも極めて重要なものとなると期待される。

公開日・更新日

公開日
2005-05-20
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-02-03
更新日
-