肝炎ウイルス等の標準的治療困難例に対する治療法の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200400677A
報告書区分
総括
研究課題名
肝炎ウイルス等の標準的治療困難例に対する治療法の確立に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
八橋 弘(独立行政法人国立病院機構長崎医療センター(臨床研究センター))
研究分担者(所属機関)
  • 石橋大海(独立行政法人国立病院機構長崎医療センター)
  • 古賀満明(独立行政法人国立病院機構嬉野医療センター)
  • 袖山 健(独立行政法人国立病院機構中信松本病院)
  • 林 茂樹(独立行政法人国立病院機構災害医療センター)
  • 酒井浩徳(独立行政法人国立病院機構九州医療センター)
  • 加藤道夫(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター)
  • 原田英治(独立行政法人国立病院機構東京病院)
  • 竹崎英一(独立行政法人国立病院機構呉医療センター)
  • 肱岡泰三(独立行政法人国立病院機構大阪南医療センター)
  • 室 豊吉(独立行政法人国立病院機構大分医療センター)
  • 渡部幸夫(独立行政法人国立病院機構相模原病院)
  • 小松達司(独立行政法人国立病院機構横浜医療センター)
  • 正木尚彦(国立国際医療センター)
  • 足立浩司(独立行政法人国立病院機構金沢医療センター)
  • 増本陽秀(独立行政法人国立病院機構小倉病院)
  • 中尾一彦(長崎大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
36,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究班では、C型慢性肝炎、B型慢性肝炎に対する各種治療方法の問題点、治療困難例の実態を明らかにした上で、難治例に対しては新たな治療法を開発しながら、Evidence-based Medicine(EBM)に基づいたウイルス肝炎の治療法を確立、体系化することを目標とする。
研究方法
 全国27施設からなる国立病院機構肝疾患ネットワーク参加施設をフィールドとして、各施設でC型慢性肝炎IFN治療とB型慢性肝炎ラミブジン治療がおこなわれた患者の症例登録をおこない、治療効果、副作用、治療の問題点を明らかにする。得られた情報は、データ収集型、仮設検証型などの統計学処理に加えて、知識生成型解析システム:データマイニングを駆使して解析をおこなう。
結果と考察
C-1.C型慢性肝炎に対するIFN治療成績、各種治療法別での著効率の違い
C-2.Peg-IFNの導入症例の経過
C-3.データマイニングによるC型慢性肝炎IFN治療効果予測モデルの構築-ウイルス駆除率(SVR%)算出のアルゴリズム作成
C-4.データマイニングによるB型慢性肝炎ラミブジン治療YMDD変異出現予測モデルの構築、を検討した。
結論
 C型慢性肝炎に対するIFN治療では、1)HCV genotype 1b高ウイルス群の対象者は、IFN単独治療で治療困難な難治例である。2)本対象群に対するIFNとリバビリン併用療法(6ヶ月の投与期間)では22%の著効率を示し、IFN単独治療法(9%)よりも有意に高い治療効果(P<0.001) を示すも、全体の治療効果としては不十分である。3)Peg-IFNα2a単独投与では、血球減少を理由として投与量を減量する例が半数近くを占める。4)データマイニング解析を用いた治療効果予測モデルの作成では、治療前ウイルス量とHCV genotype以外に、年齢、治療法の種類などが治療効果に及ぼす因子として抽出され、具体的なウイルス駆除率を示すカテゴリー化、アルゴリズムの作成が可能である。5)リバビリン併用療法では、リバビリン総投与量が治療効果に関係する。
 B型慢性肝炎に対してラミブジン治療でのデータマイニング解析を用いたYMDD変異出現予測モデルからは、1)治療前HBV-DNA量、治療前ALT値の他に、体重、PC変異株の比率等がYMDD変異株出現に関与する。2)治療前HBV-DNA量が高い症例でのラミブジン治療では、ALT値が高い時点で治療を開始することがYMDD変異株の回避につながること可能性がある。などが明らかとなった。

公開日・更新日

公開日
2005-04-08
更新日
-

文献情報

文献番号
200400677B
報告書区分
総合
研究課題名
肝炎ウイルス等の標準的治療困難例に対する治療法の確立に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
八橋 弘(独立行政法人国立病院機構長崎医療センター(臨床研究センター))
研究分担者(所属機関)
  • 石橋大海(独立行政法人国立病院機構長崎医療センター)
  • 古賀満明(独立行政法人国立病院機構嬉野医療センター)
  • 袖山 健(独立行政法人国立病院機構中信松本病院)
  • 林 茂樹(独立行政法人国立病院機構災害医療センター)
  • 酒井浩徳(独立行政法人国立病院機構九州医療センター)
  • 加藤道夫(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター)
  • 原田英治(独立行政法人国立病院機構東京病院)
  • 竹崎英一(独立行政法人国立病院機構呉医療センター)
  • 肱岡泰三(独立行政法人国立病院機構大阪南医療センター)
  • 室 豊吉(独立行政法人国立病院機構大分医療センター)
  • 渡部幸夫(独立行政法人国立病院機構相模原病院)
  • 小松達司(独立行政法人国立病院機構横浜医療センター)
  • 正木尚彦(国立国際医療センター)
  • 足立浩司(独立行政法人国立病院機構金沢医療センター)
  • 増本陽秀(独立行政法人国立病院機構小倉病院)
  • 中尾一彦(長崎大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究班では、C型慢性肝炎、B型慢性肝炎に対する各種治療方法の問題点、治療困難例の実態を明らかにした上で、難治例に対しては新たな治療法を開発して、Evidence-based Medicine(EBM)に基づいたウイルス肝炎の治療法を確立、体系化することを目標とする。
研究方法
 本研究班の解析手法の特徴は、全国27施設からなる国立病院機構肝疾患ネットワーク参加施設においてProspectiveに症例を登録し、データ収集型、仮設検証型解析に加えて知識生成型解析システム:データマイニングを駆使して分析をおこなう点である。
結果と考察
 C型慢性肝炎に対するIFN治療では、1)HCV genotype 1b高ウイルス群の対象者は、IFN単独治療で治療困難な難治例である。2)HCV-Core抗原量の測定は、治療効果予測に有用。3)高齢者でのリバビリン併用療法では治療中止例が少なくない。4)リバビリン血中濃度は治療効果に関係しない。5)リバビリン減量群と初期量維持群とでは治療効果に差がない。6)Peg-IFNα2a単独投与では、血球減少を理由として投与量を減量する例が半数近くを占める。7)データマイニング解析を用いた解析では、治療前ウイルス量とHCV genotype以外に、年齢、治療法の種類などが治療効果に及ぼす因子として抽出され、リバビリン総投与量が治療効果に関係することが示唆された。
 B型慢性肝炎に対してラミブジン治療では、1)治療効果予測因子としては、HBe抗原陽性では治療前ALT値が有用な因子で、他に、治療前HBV-DNA量、HBV-DNA PreCore領域の変異率が治療効果に関係する。2)YMDD変異出現率に関しては、治療開始48週目のHBV-DNA量が有用である。3)データマイニング解析を用いたYMDD変異出現予測モデルからは、治療前HBV-DNA量、治療前ALT値の他に、体重、PC変異株の比率等がYMDD変異株出現に関与する。
結論
 C型慢性肝炎、B型慢性肝炎に対する各種治療方法の問題点、治療困難例の実態を明らかにしたことで、今後のウイルス肝炎の治療法の在り方を呈示することができた。

公開日・更新日

公開日
2005-04-08
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2006-02-20
更新日
-