病期別にみた肝がん治療法の費用効果およびQOLの観点からみた有効性に関する研究

文献情報

文献番号
200400674A
報告書区分
総括
研究課題名
病期別にみた肝がん治療法の費用効果およびQOLの観点からみた有効性に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
沖田 極(山口大学医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 佐田 通夫(久留米大学医学部)
  • 茶山 一彰(広島大学医学部)
  • 岡 正朗(山口大学医学部)
  • 井上 裕二(山口大学医学部)
  • 日野 啓輔(山口大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服緊急対策研究
研究開始年度
平成16(2004)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
14,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
肝細胞癌治療の費用効果分析は、肝細胞癌が再発を繰り返し、また、その際の背景肝の重症度の違いによる治療選択への影響などから、自然経過から想定される通常の病態モデル作成による解析に比べてはるかに複雑である。そこで、本研究初年度の課題は、適切な費用効果分析の基本モデルを作成することとし、併行して実際の治療成績、それに関わる費用についてのデータ取得を行った。
研究方法
費用効果分析モデルを作成する上で、最も重要な肝細胞癌の初発から死亡に至る経過を病態の遷移モデルではなく、治療遷移モデルとして作成し、実際の肝細胞癌で入院した患者データを調査、適用することにより、モデルの妥当性および修正を行うこととした。プレリミナリーモデルとして単発の小肝細胞癌の初発症例をコホートとし、外科的治療とPEIT、RFA等の内科的局所療法の2つの決断肢から肝疾患およびその他の死亡による2つのabsorbing stateを含む27のhealth stateからなるマルコフモデルを想定し、山口大学の患者データの一部を当てはめて検討した。
結果と考察
1986年以降に山口大学に入院となった患者でカルテ確認が可能だった患者は、実患者で412人、性別は、男性310人(75%)、女性102人であった。2004年末までののべ1368回の入院(1患者平均3.33回)を調査対象として費用効果分析の基礎資料となる情報を入手した。また、これらの過程において肝細胞癌治療の情報取得のための調査表を改善し、山口大学、久留米大学、広島大学に共通した調査表を作成した。今回活用できたデータ量が限定されていたことから、モデルに用いる遷移確率のばらつきが大きく、シミュレーションによる結果は今後のデータ集積によって変わりうると考えられた。しかし、PEIT/RFA等による内科的局所療法では、日本肝癌研究会の癌登録患者の5年生存率と比較しほぼ同じような期待余命が得られた。今後大規模なデータの集積により、より精度の高いモデルが構築され、実際的な肝細胞癌症例の費用対効果分析が可能になると考えられた。
結論
肝細胞癌に対する費用効果を検討するため、肝細胞癌の初発から死亡に至る経過を治療遷移モデルとして作成し、患者データを当てはめてモデルの妥当性を検討することにより、肝細胞癌治療選択の費用効果分析のための適切なシミュレーションモデルの方向性が確立された。

公開日・更新日

公開日
2005-06-15
更新日
-