男性同性間のHIV感染予防対策とその推進に関する研究

文献情報

文献番号
200400664A
報告書区分
総括
研究課題名
男性同性間のHIV感染予防対策とその推進に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
市川 誠一(名古屋市立大学 看護学部)
研究分担者(所属機関)
  • 内海 眞(高山厚生病院/独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター)
  • 鬼塚 哲郎(京都産業大学 文化学部)
  • 山本 政弘(独立行政法人国立病院機構九州医療センター)
  • 木村 博和(横浜市衛生局保健部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究費
50,166,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ゲイコミュニティにおける啓発普及プログラムを開発・実施し、啓発資材の認知、予防意識、コンドーム入手、常用への影響を評価しつつ、HIV感染予防対策上の課題を整理し、男性同性間のHIV感染予防に有効な施策を提言することを目標とした。
研究方法
感染者・患者報告数の多い東京、増加傾向にある名古屋、大阪、福岡地域を対象とした。資材開発・普及は各地域ボランティア団体(CBO)が担当し、ゲイメディア、ゲイビジネス等の協力を得つつ、ネットワークを構築し普及促進を図る方法を探った。啓発資材、普及方法の評価調査は研究者が担当した。地域のMSM対象エイズ施策推進を図るため地域自治体との連携を行った。
結果と考察
東京のRainbow Ring、名古屋のAngel Life Nagoya、大阪のMASH大阪、福岡のLove act Fukuokaが各々独自に資材を開発し、MSMが利用する商業施設等と連携し、コンドームや啓発資材のアウトリーチを展開した。
大阪では、5年にわたるCBOの工夫と持続的な啓発資材のアウトリーチにより知識、検査行動、性行動に変化がみられた。MSMにおけるHIV感染対策の推進にはCBOの役割が重要であり、研究者、医療者、行政がCBOと連携しそれぞれの専門性を果たす協働を長期的な展望をもって取り組む必要がある。
インターネット利用層(2062人)の調査から、過去1年間のHIV抗体検査受検割合(23.7%)は都市部で比較的高く、10代と50代以上で低率であること、過去6ヶ月のアナルセックス時のコンドーム常用率は年齢が若いほど低いことなどが示された。
大阪土曜常設検査の受検者対象の質問紙調査はMSMの受検動向の把握に有用であった。
保健所でのカウンセリング・相談に関する質問紙調査から、MSMの受検を把握していた保健所は26.2%、相談内容に性的指向を挙げていたのは20.4%であった。
結論
ボランタリー・セクターとパートナーシップを構築しHIV感染予防への啓発普及を試行した。啓発資材の開発、商業施設や関連機関とのネットワーク構築、アウトリーチ等のプログラム実施などのCBO活動はMSMへの訴求性が高く、他地域やMSM以外の層へのモデルともなり、社会的意義が高いと考える。
男性同性間でのHIV感染症は拡大傾向にあり、その対策には地域のCBOの活動を活性化する事業施策が望まれる。

公開日・更新日

公開日
2005-05-13
更新日
-

文献情報

文献番号
200400664B
報告書区分
総合
研究課題名
男性同性間のHIV感染予防対策とその推進に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
市川 誠一(名古屋市立大学 看護学部)
研究分担者(所属機関)
  • 内海 眞(高山厚生病院/独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター)
  • 鬼塚 哲郎(京都産業大学 文化学部)
  • 山本 政弘(独立行政法人国立病院機構九州医療センター)
  • 木村 博和(横浜市衛生局保健部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成14(2002)年度
研究終了予定年度
平成16(2004)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
東京、名古屋、大阪、福岡地域で、ゲイコミュニティにおける啓発普及プログラムを開発し、啓発資材の認知と予防行動への効果を評価しつつ、HIV感染予防対策上の課題を整理し、予防施策に有効な対策を提言する。
研究方法
資材開発とその普及は地域ボランティア団体(CBO)が担当し、ゲイメディア、ゲイビジネス等の関係者の協力を得つつ、ネットワークを構築して普及促進を図る方法を探った。
2002年は当事者参加の研究体制基盤を整え、訴求効果のある啓発資材の開発、普及方法を検討・試行し、2003年は啓発ネットワークの拡大及び訴求効果のある啓発普及を試行し、2004年は啓発プログラムの普及を継続し、その効果の評価と、課題を整理した。
結果と考察
東京では、商業施設との協力によるコンドームアウトリーチ、クラブイベントでの啓発、行政との協働による若者向けやハッテン場向けの講習会、NPO・ぷれいす東京発案の「Living Together計画]などを行った。Living Together計画はMSM以外の層や地方においても陽性者の生活や治療について理解を促進する方法として有用と思われる。大阪では、年間5万個配布のコンドームアウトリーチを3年間実施し、受取率約60%という普及を継続した。コミュニティ誌Sal+は商業施設とのコミュニケーションを推進し、知識、検査行動、コンドーム使用行動に影響を及ぼした。名古屋のHIV抗体検査会の受検者は年々増加し、2004年は400人を超え、MSM対象の検査のニーズの高さが示された。保健所等の公的機関では、MSMの受検を促進する体制の整備が望まれる。地方都市福岡では、当事者CBOの活動を支援する連携組織として、保健・医療機関、福岡県・市、他のNGOで構成する「福岡セクシュアルヘルス対策懇談会」が発足した。地域でのMSMへのHIV感染対策を行政、CBOが共に検討することを容易にする効果が期待される。
インターネット利用層の調査から、インターネットを介した予防介入が必要であることが示唆された。
結論
各地域のCBOはMSMが利用する商業施設等と連携してコンドームや啓発資材のアウトリーチを展開する啓発普及基盤を構築した。感染者/患者の増加が続いている現在、MSMを対象としたエイズ対策事業は急務であり、CBOの活動を活性化し、行政、医療者・研究者がそれぞれの役割を果たす協働事業施策が望まれる。

公開日・更新日

公開日
2005-05-20
更新日
-