HIV感染予防対策の効果に関する研究

文献情報

文献番号
200400653A
報告書区分
総括
研究課題名
HIV感染予防対策の効果に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
池上 千寿子(特定非営利活動法人ぷれいす東京)
研究分担者(所属機関)
  • 東 優子(ノートルダム清心女子大学)
  • 生島 嗣(特定非営利活動法人ぷれいす東京)
  • 兵藤 智佳(特定非営利活動法人ぷれいす東京)
  • 徐 淑子(新潟県立看護大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
16,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
予防介入の対象を性行動が最も活発化する18歳前後の若者とし、「予防行動を阻害する意識や態度要因に働きかける予防介入」に焦点をあてその効果を横断的に研究する。3年計画の2年目として5つの柱で研究した。①映像教材の効果に関する研究②国内ピア介入事業の実態とニーズに関する調査研究③自治体による若者への介入事業の研究④HIV陽性者による告知が周囲の予防行動に与える影響に関する研究⑤予防介入者の人材育成である。
研究方法
①映像教材の効果。準実験研究プロトコルに則り専門学校の学生を対象に介入群、統制群にわけビデオ視聴前・後で質問紙調査をし学習効果を分析した。②NGO及びピア関係者を対象に、「ピアに関する知識・経験・考え方」「ピア事業の実践」について質問紙調査を実施した。③自治体による介入事業では予備調査から選んだ事例を分析した。④陽性者の告知とその影響についてMSMの会員制webサイトで質問紙調査を実施した。⑤人材育成。教師・保健師等を対象に4回の講座を実施した。
結果と考察
映像教材の効果について「性の悩みは一人で抱え込まない方がいい」「友達と予防行動を話すのは役立つ」等コミュニケーションの肯定及び「女子から予防行動を依頼すると嫌われる」等、予防行動阻害要因の減少が確認された。ピア調査では「ピアを企画・実践した経験群」は未経験群よりもピアに関する評価は低かった。これは期待値と実際のギャップを示し、派遣側・実践者・受け入れ側間の認識のズレ等の要因があり、当事者性の明確化及び関係者間の調整機能の重要性が示唆された。自治体の事例調査では事業立案・実施での若者参加度、地域資源との連携度を指標に整理したが、ここでも当事者性と調整機能が課題であった。④web調査では回答者の「感染可能性の知識」「コンドーム使用の有効性の認識」は高いが「自分が感染しうる」という身近感、予防行動の負担感は多様で予防行動は一貫していない。しかし陽性者の手記等への接触群は非接触群よりも身近感の認知と「コンドーム使用予測」が高まる。陽性者の個人的発信の有効性が確認され一般集団への有効な介入手法としての可能性が示唆された。
結論
若者の保健行動を促進するには、行動を阻害する意識や態度要因に働きかけることが有効である。感染の身近感は行動変容につながり、陽性者による発信は有効である。介入事業を継続するには資源間の調整機能が不可欠である。

公開日・更新日

公開日
2005-05-13
更新日
-