文献情報
文献番号
200400648A
報告書区分
総括
研究課題名
若年婦人におけるHIV感染状況およびHIV感染と生殖医療との関連性に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
田中 憲一(新潟大学大学院医歯学総合研究科(産婦人科))
研究分担者(所属機関)
- 岩下 光利(杏林大学医学部産科婦人科学教室)
- 花房 秀次(荻窪病院血液科)
- 名取 道也(国立成育医療センター周産期診療部)
- 牛島 廣治(東京大学医学部国際保健学専攻発達医科学)
- 高桑 好一(新潟大学大学院医歯学総合研究科(産婦人科))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
33,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
第1の研究はHIV感染男性非感染女性夫婦がより安全に妊娠しうる妊娠補助技術を開発すること,第2の研究は妊産婦のHIV感染について母子感染の際のHIVのサブタイプ、薬剤耐性の現状を明らかにすることおよび子宮内感染の機序を解明すること,第3の研究は母乳中のHIVを低コストで減少・除去可能な装置を開発,母乳によるHIV母子感染リスクを回避・減少させることを目的とした。
研究方法
第1の研究:対象となる夫婦の夫から得られた精液をPercoll-Swim up法により調整,超高感度PCRによりHIVが1コピー/ml以下であることを確認し,体外受精・胚移植を実施した。電子顕微鏡などによりHIV薬物治療の精子への悪影響を検討した。第2の研究:(1)ベトナムでHIV陽性妊婦から生まれた児の血液のPCRによるサブタイピングを行った。(2)RT-PCRで3種類の絨毛癌細胞のGタンパク受容体の発現を調べた。(3)HeLa/KS386とHeLa/T4の融合過程を電子顕微鏡により観察した。第3の研究:(1)HIV-1IIIBを用い培養液中のウイルス破壊を評価した。(2)HIV-1RNA定量キットを用いてPBS、FCS、RPMI、人工乳、母乳中に混和したHIV-1 IIIBの検出限界値の評価を行った。
結果と考察
第1の研究:HIV感染男性非感染女性夫婦に対するIVF-ETは,これまで40症に実施27例で妊娠成立19例が分娩し,母児ともに二次感染は認めず極めて有用な治療と判断される。薬物治療を受けているHIV感染者の精子にnecrosisが高率に認められた。第2の研究(1)HIV陽性妊婦より生まれた11名の児全例がHIV抗体陽性,すべてサブタイプCRF01_AEであった。(2) 絨毛癌細胞にGタンパク受容体としてC5a receptor, CCR7,CC9/CCR10, RDC1が発現していた。第3の研究(1)HIV-1IIIBを用いた感染実験で感染性は室温放置時間とともに低下,UV照射で減衰は助長された。(2)PBS,FCS,RPMI,人工乳,母乳中に混和したHIV-1 IIIBの検出限界値についてRNA測定では全ての希釈液中でのウイルス測定の限界値は同等であり,臨床応用可能な測定法と考えられた。
結論
本研究により,妊娠,授乳など生殖に関連したHIV二次感染の予防が可能となりつつあり,今後も研究を進めて行くことが重要であると判断される。
公開日・更新日
公開日
2005-06-27
更新日
-