HIV感染症に合併する肝疾患に関する研究

文献情報

文献番号
200400646A
報告書区分
総括
研究課題名
HIV感染症に合併する肝疾患に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成16(2004)年度
研究代表者(所属機関)
小池 和彦(東京大学医学部感染制御学・感染症内科)
研究分担者(所属機関)
  • 高松 純樹(名古屋大学医学部輸血部)
  • 菅原 寧彦(東京大学医学部人工臓器・移植外科学)
  • 四柳 宏(東京大学医学部感染制御部)
  • 森屋 恭爾(東京大学医学部感染制御部)
  • 西田 恭治(東京医科大学病院臨床検査医学)
  • 菊池 嘉(国立国際医療センタ-エイズ治療研究開発センター)
  • 茶山 一彰(広島大学医歯薬学総合研究科分子病態制御内科学)
  • 髭 修平(北海道大学附属病院第三内科)
  • 正木 尚彦(国立国際医療センタ-第二消化器科)
  • 加藤 道夫(国立病院機構大阪医療センター)
  • 酒井 浩徳(国立病院機構九州医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策研究
研究開始年度
平成15(2003)年度
研究終了予定年度
平成17(2005)年度
研究費
59,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
多剤併用抗レトロウイルス療法 HAARTの登場以降、HIV感染者の予後は著しく改善してきているが、HIV感染者の死因も従来に比べて大きく変化してきている。AIDS関連死は約半数にとどまり、非AIDS関連死の90%が肝疾患関連であり、多くは慢性C型肝炎ウイルス(HCV)感染症による死となっている。したがって、HIV感染者に合併した慢性HCV感染症をいかに治療するかは、最大の懸案事項である。HIV感染者に合併する慢性HCV感染症の治療法の改良を図ることを目的とする。
研究方法
我が国におけるHIV感染症に合併するウイルス肝炎の実態を把握するための詳細なデータベースを作成する。HIV感染症に合併するC型肝炎に対する(ペグ)インターフェロン・リバビリン併用療法を中心とした抗ウイルス療法を実施する。重複感染症に対する生体肝移植法の開発を図る。
結果と考察
  我が国のHIV感染症例の約20%がHCVに重複感染していることが判明した。この結果を受けて、HIV・HCV重複感染症例の肝疾患進展度の実態調査を行なった。重複感染例のうち約90%の症例でHCV量が高値(≧100 KIU/ml)であることが判明した。さらに、総ビリルビンが3.0 mg/dlを越える進行肝硬変で、肝移植の対象となる症例が少なからず存在した。
 HIV感染症合併慢性C型肝炎に対して、リバビリン併用ペグ・インターフェロン療法を実施している。治療効果はやや低い傾向がある。48週後に更にペグ・インターフェロンのみの追加投与を行なうスケジュールで治療を開始している。
 HIV・HCV重複感染症に対する生体肝移植を施行し、更に安全なドナー肝手術法の開発を図っている。H16年度はHIV・HCV重複感染症の3例で肝移植が施行された。 HIV・HCV重複感染症に合併する末期肝硬変・肝がん症例に対する生体肝移植の適応を症例ごとに評価を行ない実施してきている。H16年度は4例に移植が施行された。CD4リンパ球数を移植適応の目安と考えてきているが、「手術直前のCD4数の減少速度」を考慮する必要がある。
結論
 HIV感染症に合併する肝疾患について、特にC型肝炎に重点をおいて診療体制の組織強化、抗ウイルス療法の実行、生体肝移植治療実施、等を行なった。なお、これらの方策を改良しつつ更に押し進める必要がある。

公開日・更新日

公開日
2005-06-08
更新日
-